「Thinkstock」より

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 10月、俳優の平幹二朗が自宅の浴室で亡くなっているところを発見された。死因は「ヒートショック」の可能性が高いといわれている。近年、テレビやインターネットで、よく目にするようになったヒートショックという言葉。しかし、具体的にどういったものなのか、詳しく知らない人も多いだろう。

 そこで、生活総合情報サイト「All About」で「お風呂・温泉の医学」ガイドを務める温泉療法専門医の早坂信哉氏に、ヒートショックの原因や予防策について聞いた。

●冬の風呂場はヒートショックの危険大?

「ヒートショックとは、急激な温度変化による体への悪影響のことです。特に冬に起きることが多いのですが、それは部屋の中に温度差が激しい場所があるからです。たとえば、リビングなどは暖房で暖かくなっていても、お風呂に入る前の脱衣所は冷えているという家庭が多いですよね。暖かい部屋から寒い部屋に行ったときに急激に体が冷え、血圧が上がることで、心筋梗塞や脳卒中などの病気が引き起こされるのです」(早坂氏)

 ヒートショックの恐ろしいところは、「それ単体ではなく、さまざまな病気を誘発すること」だと早坂氏は言う。では、ヒートショックになりやすいのはどんな人なのだろうか。

「まずは高齢者です。若い人の場合は、血管がしなやかで多少の圧がかかっても吸収してくれます。しかし、高齢者は血管が柔軟性を失って硬くなってしまっています。すると、血圧が上昇したときに血管が破れてしまうのです。また、若い人でも動脈硬化が進むような病気、たとえば高血圧や糖尿病、肥満、高脂血症を患っていたり、喫煙や飲酒を好んだりしている場合はヒートショックのリスクが高くなります」(同)

 今は若い人でも生活習慣病に悩まされるケースが増えているため、高齢者でなくとも油断は禁物だろう。昨年11月23日に『テラスハウス』(フジテレビ系)などのテレビ番組で活躍していた今井洋介が心筋梗塞によって31歳の若さで急逝したが、今井の死因についてもヒートショックとの関係性が疑われている。そう考えると、30〜40代にとっても決して他人事ではなさそうだ。

●一番の予防策は家の中の温度差解消

 では、ヒートショックにならないために、どのような予防策をとればいいのだろうか。

「ヒートショックを起こさないようにするためには、家の中の温度差をなくすことが一番効果的です。そのため、廊下やトイレ、脱衣所などの室温が低くなりがちな場所にも暖房をつけることが重要です。また、脱衣所から湯船に入る際も、寒いところから熱いところに入ることになるため、当然ヒートショックの危険が高まります。お湯の温度を40度以下に設定して、急激に体温が変化しないように心がけてください。入浴前に掛け湯を入念に行うのも、ヒートショック予防になります。

 また、ヒートショックによるお風呂場での死亡事故は、基本的に脳卒中や心筋梗塞、熱中症によって意識を失って溺れてしまうことが原因です。そのため、万が一ヒートショックになってしまっても、見つかるのが早ければ助かる可能性は高いです。特に高齢者の場合、家族が起きている時間帯に入浴するようにしたほうがいいでしょう。これからの時期はヒートショックがますます増えると予想されますが、しっかり対策すれば十分予防することができます」(同)

 師走を迎え、本格的に冷え込みが厳しくなってくる。「暖房代がもったいない」と寒さを我慢するのではなく、ヒートショックを予防するためにも、しっかりと家の中全体を暖めることを心がけたほうがいいだろう。
(文=日下部貴士/A4studio)