「ああ、また同じ失敗をしちゃった……私って、本当にバカ……」そんなふうに自己嫌悪に陥ってしまうこと、ありますよね。実は、頭ではわかっているのについつい同じ失敗を繰り返してしまう人に、共通して見られる「目の動き」があるのだそう。

「目の使い方のクセは、そのまま思考のクセなんです。目のクセを直せば、同じ失敗を繰り返すことを減らせる可能性がありますよ」そう話すのは、心身の不調を目の体操で整えていくメンタルビジョントレーニングを提唱している松島雅美(まつしま・まさみ)先生。一体どういうことなのでしょうか?

目のクセを知る

-「思考のクセは、目のクセで決まる」ということですが、そもそも「目のクセ」って何ですか?

松島雅美先生(以後、松島)前回の利き目もその一つですが、目のクセとは、眼球の動き方、動く範囲でわかります。それでは、チェックしてみましょう。頭は動かさないで、目だけで私の指を追ってください。まずは横の動きから。

松島:目だけ動かすのが苦手のようですね。目と一緒に頭も動いてしまっています。眼球が硬くて可動範囲が狭いため、私の指の振り幅が大きくなると、頭も動いてしまうんですね。次は上下の動きです。

左下が指のスピードに合わせられずさっと動いてしまいますね。でも上方向は左右ともにとてもきれいに動いていますよ。上の動きは額にシワが寄ったり、眉間に力が入ってしまう人が多いんですけど、そういったこともなくスムーズに動いています。

-このチェックだけでも、普段いかに目を動かしていないかがわかります。

松島:思った以上に動かないでしょう? 特に横の動きが鈍かったですね。

横の動きが鈍い人は、聴覚での情報処理が苦手

-このチェックで何がわかるのですか?

松島:思考のクセですね。目のクセによって、大きく3つのタイプに分けられます。「横(左・右)の動きが鈍い人」、「上(右上・左上)の動きが鈍い人」、「下(右下・左下)の動きが鈍い人」です。

-私は「横(左・右)の動きが鈍い人」ですよね。このタイプは、どんな思考の持ち主なんですか?

松島:大勢の目の動きを研究した結果、「横(左・右)の動きが鈍い人」はアタマで情報を処理する時に、聴覚情報をあまり使っていないことがわかっています。つまり、音からイメージを膨らませたり、音から何かを思い出したりすることが少ないんです。このタイプは、人の話をちゃんと聞いているつもりなのに、正しく理解できていないことが、結構あると思いますね。

聞いたことがない音を想像している時、目は右横を向く習性があるんです。見たことのない動物の映像を見て「どんな声で鳴くんだろう?」と想像力を働かせているような時ですね。逆に聞いたことのある会話や声を思い出す時には、目は左横を向く傾向があります。「あの時、あの人は何と言っていたっけ?」という場面で、そういう目の動きが見られます。

-「上(右上・左上)の動きが鈍い人」と「下(右下・左下)の動きが鈍い人」にはどんな思考のクセがあるんですか?

松島:「上の動きが鈍い人」はアタマで情報を処理する時に、視覚情報を使っていることが少ないタイプ。見たことのないものを想像する時や記憶を呼び起こす時に、ビジュアルとしてイメージを思い描くことをあまりしません。本を読んでいても内容が頭に入ってこないという人は、上の動きが鈍い可能性があります。

見たことのないものを想像している時、目は右上を見る傾向があります。新種の動物が発見されたというニュースを聞いて「どんな姿をしているんだろう?」とビジュアルで想像を膨らませている時です。逆に見たことのあるものを思い出している時は、視線は左上を向きます。「あの日、あの人が着ていたのはどんな服だっけ?」などと思い出している時の目の動きです。

「下の動き」は、体感覚(温度や味覚)を思い出す時や、アタマの中で自分と対話をする時に目が動く方向です。自分自身と向き合うのが苦手な人ほど、下方向への目の動きが鈍くなる傾向にあります。

目のクセを直せば、人間関係もスムーズに

-私のように、横の動きが鈍くて聴覚情報がうまく処理できないということは、インタビューも実は苦手なんでしょうか(苦笑)?

松島:(笑)意外にライターさんに多いタイプですよ。ライターさんは活字のような視覚情報からイメージを膨らます方が得意のようです。

ただ、横(左右)の動きが極端に悪い人は、ビジネスではちょっと厄介で、叱られやすかったりします。口頭で伝えられるだけだと、うまく飲み込めず、「何度言えば、わかるんだ!」と注意を受けることもしばしば。

-確かに、口で伝えられるだけだとダメかも……。

松島:そういう人は、コミュニケーションのとり方を工夫するといいと思いますよ。大事なことはメールなどの視覚情報で伝えてもらうとか、電話だけで済まさないとか。目の動きから思考のクセがわかると、同じ失敗を繰り返さないための対策が見えてきます。

逆に、視覚情報が苦手な人の場合、メールだけで済まさずに、口頭や電話によって聴覚情報でフォローしてもらうように工夫するといいでしょう。

-思考のクセに合わせた「伝え方」「捉え方」にすれば、失敗が減るんですね。

松島:そうです。そういった知識があるだけで、上司や部下、仕事相手との接し方も変わり、関係性がスムーズになると思いますよ。

怒る方も怒られる方も気持ちのいいものではありませんからね。伝え方を工夫する他、次回以降、ご紹介するメンタルビジョントレーニングで、目の動きのクセを改善していくことをおすすめします。日々のストレスが減り、人間関係もうまくいきます。

(塚本佳子)