本研究のイメージ図。(図像:昭和シェル石油発表資料より)

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 昭和シェル石油は、ガス拡散電極を使用し、常温常圧下において水と二酸化炭素と太陽光エネルギーを炭化水素などの有用な資源へと変換することに世界で初めて成功した。

 水と二酸化炭素と太陽光から資源を生成する、ということはまったく珍しい現象ではない。植物が行う、光合成である。しかし、光合成は、原理はともかく化学的には極めて高度で複雑な現象であり、人工的に再現するのは容易ではない。昔の学校教育の科学カリキュラムでは、光合成は「人間が工業的に真似をするのは絶対に不可能」だと教えられていたほどだ。

 翻って今日、人工光合成に関する研究は地球温暖化対策の一環として世界中で行われているが、そもそも二酸化炭素は安定した物質で変換が難しく、技術的には多くの困難が付きまとう。安定した物質である二酸化炭素を変換しやすくするために、多くの研究ではこれを水に溶かして人工光合成を行うのだが、二酸化炭素は水にも溶けにくいというから本当に厄介である。

 しかし今回昭和シェル石油が開発した手法では、二酸化炭素を水に溶かす必要がない。気体のまま人工光合成を行う。独自開発の触媒を用いた「ガス拡散電極」が二酸化炭素を反応させるための電極となり、また太陽光の吸収にはソーラーフロンティア製のCIS薄膜太陽電池と半導体光触媒を積層構造で利用した電極を用い、メタン、エチレンなどを得ることに成功したのだ。

 この研究における太陽光エネルギーの炭化水素(炭素原子と水素原子だけでできた化合物の総称で、石油や天然ガスなどの有用資源の主成分として知られる)への変換効率は0.71%で、この数値は自然界の植物の光合成とほぼ変わらない水準である。

 研究の成果は、2017年3月に京都で開かれる国際学会、ICARP(International Conference on Artificial Photosynthesis、国際人工光合成会議)2017で発表される予定となっている。