米ウォール・ストリート・ジャーナルの11月28日付の記事によると、米アップルは来年発売する予定のiPhoneの次期モデルに、有機EL(OLED)ディスプレーを採用する可能性があるという。

サムスン製スマホよりも高解像度に

 アップルはディスプレーメーカーに対し、OLEDディスプレーの生産量を高めることを求めるとともに、同社の競合、韓国サムスン電子の製品よりも高い解像度のディスプレー試作品を提供するよう求めたという。

 次期iPhoneにOLEDディスプレーが採用されるという観測はこれまでにも出ていたが、今回ウォール・ストリート・ジャーナルも事情に詳しい関係者に取材し、情報を得たとのことだ。

 iPhoneの販売台数が減少する中、アップルは初代機の発売から10周年となる来年に、ヒット商品を生み出す必要に迫られていると同紙は報じている。

多数の試作モデルで検討中

 同紙によると、OLEDディスプレー搭載のiPhoneは、来年発売する複数モデルの1つとなり、より高い価格が設定される可能性がある。

 ただし、そのモデルは現在検討している10種類以上ある試作モデルの1つであるため、アップルは製品化を見送る可能性もあるという。

 従来の液晶ディスプレーからOLEDディスプレーへの移行は、すでにサムスン、米グーグル、中国シャオミ(小米科技)などの製品が実現している。

 アップルはOLEDディスプレーを、腕時計型機器「Apple Watch」や、先頃発売した新型ノートパソコン「MacBook Pro」のキーボード部分にあるタッチディスプレー「Touch Bar」で採用しているが、iPhoneにはまだ搭載していない。

 OLEDディスプレーは、低消費電力で高輝度、高コントラストを実現できる。有機物の発光体を利用するため、液晶ディスプレーのようにバックライトを配置する必要がない。

 また基板には従来のガラス基板だけでなく、薄いプラスチックなど軟らかい素材を使うこともでき、薄型化が可能だ。

スマホ用OLEDパネルはサムスンが市場を支配

 しかし今回のウォール・ストリート・ジャーナルの記事は、アップルが抱える問題は世界のスマートフォン市場で熾烈な競争をしているサムスンに多くを依存しなければならない点だと指摘している。

 同紙によると、サムスンのディスプレーパネル子会社であるサムスン・ディスプレイは現在、スマートフォン用OLEDパネルの分野で市場を支配しており、量産が可能な数少ないメーカーという。

 サムスンはこれまでメモリーチップなどの部品をアップルに供給してきた。だが両社の競合関係から、アップルは部品供給源の分散化を図った。これにより同社は現在、液晶ディスプレーを韓国LGディスプレイやジャパンディスプレイ、シャープに発注している。

 しかしこの3社は、OLEDパネル生産への投資額がサムスンに比べ少なく、現状ではアップルが必要とする量を十分に供給できない可能性があるという。

 アップルは、この3社に次期iPhone用OLEDディスプレーの生産能力を高めてもらいたい考え。しかし当初は、サムスンがその大半を供給することになるだろうと、ウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。 

筆者:小久保 重信