金正恩夫妻とモランボン楽団(右から2人目が李雪主氏)

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韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は10月19日、国会情報委員会の国政監査で、北朝鮮の金正恩党委員長が毎週3、4回ずつ夜通しのパーティー(酒宴)を開き、不摂生な生活と食習慣のために健康不安を抱えているとの分析を報告した。

金正恩氏には以前から健康不安説があるが、ここまで酒を好むという話は出ていなかったと思われる。

もっとも、正恩氏がパーティーを開いていること自体は知られていた。元NBAのスター、デニス・ロッドマンが訪朝した際には、名門学院から女学生たちをコンパニオンとして動員。彼女たちが陰で泣いていたとの話がある。

(参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

妻の甥を暗殺

「喜び組」に象徴されるこの手の乱痴気騒ぎは、北朝鮮の体制にとって最大の恥部だ。その秘密は1996年、韓国に亡命した故金正日総書記の妻の甥・李韓永(イ・ハニョン)氏によって暴露された。

1960年に平壌で生まれた李氏は、故金正日総書記の2番目の妻、ソン・ヘリム氏の姉の息子だ。平壌では、正日氏夫妻や2人の息子・正男(ジョンナム)氏と生活をともにし、金王朝の深奥の秘密に通じていた。

1982年に留学先のスイス・ジュネーブから韓国に亡命した李氏は、96年になって、金正日氏とロイヤルファミリーの私生活を赤裸々に綴った手記を発表。

それ以降も各種メディアを通じ、「喜び組」や「秘密パーティー」など、体制の恥部とも言える秘話を暴露していく。

そして、李氏のこうした行動に、正日氏は激怒。2人組の暗殺要員を韓国に潜入させ、李氏を滞在先のアパート前で射殺させた。

しかし、それも後の祭りで、「喜び組」の内幕はすでに世界中に知れ渡っている。ただ、北朝鮮当局はこうした情報が国内に拡散することにはなお敏感であり、2015年9月には、「喜び組」を描いた韓流ドラマの動画ファイルを密売した女性らを公開処刑している。

それにしても、正恩氏の週に3、4回というパーティーの回数は異常だ。父親の正日氏による秘密パーティーには、幹部たち同士で本音をぶつけさせ、政策を調整する料亭政治のような側面もあったと聞く。

しかし、些細なことで幹部を処刑してしまう正恩氏に、料亭政治を主導する余裕があるのか。単に「パーティー癖」だけを父親から受け継いだのなら、正恩氏に対する内外の評価は、正日氏にも及ばずに終わるのではないだろうか。