「0−2にされた後は、もうゴールしか狙っていなかったです。これまでは(味方のクロスボールに)ニアで触っても点を獲りきれないことが多かったので、今日はボールしか見ていなかった。というのも、相手と駆け引きしてしまうと、ニア(のスペース)を消されて何もできないことが多いので。だから、とにかく味方のボールがここに来ると信じて、一直線に走り、最後は振り抜いた。いいシュートだったと思います」

 12月3日に行なわれた第14節サンダーランド対レスター・シティの一戦。ベンチスタートの岡崎慎司に出番の声がかかったのは、敵の1点リードで迎えた68分のことだった。残り時間は約20分。投入直後は自陣の深い位置まで下がって守備に走ってもいたが、サンダーランドに2点目を奪われると、「ゴール」のことだけを考えるようになったという。

 得点場面は80分。左サイドからFWデマレイ・グレイが速いクロスボールを入れると、敵のマークから一歩抜け出し、ドンピシャのタイミングで左足を合わせた。

「クロスボールが速い場合、集中していないとゴールを決められない。何も考えないで入っていくのが、今の自分にとって大事なこと。最近は、考えながら入っていくことが多かった。ドイツでは1回、駆け引きできる時間があるんです。でも、プレミアリーグは(プレースピードが)速い。先にスペースを埋められると、ボールを触ることすらできない。相手よりも前に入って、無理矢理でもゴールに持っていく。それが今日はできた」

 今季リーグ戦で2ゴール目、チャンピオンズリーグとリーグカップを含めると通算5ゴール目となった。だが、試合を1−2で落としたため、「(自分のゴールで1点を)返しただけ」(岡崎)。嬉しさと悔しさが入り混じった複雑な表情を見せていたが、試合前から「最近の感覚として、ゴール決められるんじゃないか」と感じていたという。

「チームとして、『誰が(特定な選手を狙って)』という形がないじゃないですか。 だから、自分が動き出せば、そこにボールが来るようになっている。昨シーズンは(FWジェイミー・)バーディーが動き出したら、(チームメイトは)彼の動きしか見ていなかった。でも今は、バーディーが防がれている。『(代わりに)誰が?』というところで、自分にチャンスが必ず来ると信じているんで」

 こうした狙いが実を結んだのが、この日のゴールだった。

 最近、岡崎がテーマに掲げているのが、「自分の感覚を信じて」プレーすること。チャンスと見れば、ゴール前に突っ込む。あるいは、サイドが空いていると感じれば、横に開いて縦パスをもらう。陣形や攻守のバランスなどは深く考えず、自分の感覚を信じて動くようにしているという。

 そして、周りの選手も岡崎の動き出しを注視するようになった。ニアサイドにボールが来ると信じて飛び込んだ岡崎と、日本代表FWのランにピタリと合わせたグレイ。両者の呼吸がひとつに重なったことでゴールが生まれた。岡崎も、「ちょっと掴めたかなと思います」と手応えを口にした。

 とはいえ、肝心のチームの成績がおぼつかない。最下位のサンダーランドに敗れ、直近5試合で勝利がない(3敗2分)。順位表を見ても、降格圏まで2ポイント差の15位に落ちた。しかも、昨季躍進の立役者だったバーディーとMFリヤド・マフレズも、好調時にはほど遠いパフォーマンスに終始している。

「『前ならもっとこうやれていた』とか、みんなもよく言うんですけど、そういう話が出る時点で、まだまだ自分たちの足もとが見えていないと思うんです。もちろん、みんなで話し合うことは悪いことじゃない。チームもまとまってきています。その意味でも、本当にここからが勝負だと思う。

 昨季は......本当に全員がフィットしていて、バーディーやリヤド(・マフレズ)が打ったシュートが奇跡的に入っちゃうとか、PKをいいタイミングで取るとか、すべてのサポーターが俺らのことを応援してくれたりとか。すべてがうまくいったから、奇跡が起きたのかなと。だから、昨季のことは忘れて......。

 昨季はあり得ないことを達成してしまったと思うんです。でも、頭でわかっていても、達成感というか、多少は燃え尽きているところがあると感じるんです。だから、『昨季は......』という考えを早めに捨てないと、えらいことになるなと」

 だからこそ、岡崎はいつにも増して闘志を燃やしている。「昨季はまったく満足せずにシーズンを終えた。だから、みんなよりモチベーションが高いと思う。自分はフォワードなので、ここで自分が点を獲ればチームを救える。強い気持ちを持ってやりたい」

 リーグ戦の次戦では、強豪マンチェスター・シティをホームに迎える。はたして岡崎は、自身の活躍で負の流れを断ち切ることができるか。

田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke