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●歯が痛むメカニズムを知る
冷たいものを食べた際や歯磨きをしているとき、ふいに歯がしみる感覚に陥った経験はないだろうか。一時的に痛むだけで、すぐに痛みが引いてしまうようならばその症状の原因は知覚過敏にあるのかもしれない。

今回はM.I.H.O.矯正歯科クリニックの今村美穂医師に知覚過敏の症状や原因などについて伺った。

○痛みのカギは象牙細管

知覚過敏は、「冷たい(温かい)物を飲んだり食べたりする」「酸味の強い物を飲んだり食べたりする」「歯磨き時に歯ブラシの毛が歯に触れる」「口腔(こうくう)内に冷たい風が入る」「冷たい水でうがいをする」などのシチュエーション時に、一時的に歯がズキズキとしみて痛む症状を指す。

歯が痛む理由は、歯の神経「歯髄(しずい)」につながる「象牙細管(ぞうげさいかん)」の穴が露出し、そこに液体や冷風などの刺激物が流れ込むと歯髄(神経)が反応するためだ。

象牙細管は、歯の表面を守るエナメル質の内側にある象牙質と呼ばれる部分にある。そのさらに内部に歯髄があるため、歯は大まかに言えば外側からエナメル質、象牙質、歯髄の3層(歯根部は歯肉、セメント質、歯髄)から成り立っている。

このうち、歯髄に近い象牙質やセメント質を刺激すると歯髄内神経が反応して痛みを感じる。そのため、さまざまな原因で象牙質が露出されてしまうと、外部からの刺激が神経に伝達されやすくなり知覚過敏に陥るというメカニズムだ。

「知覚過敏になる原因は多岐にわたりますが、病的なものが原因でなる場合とそうでないものが原因でなる場合の2パターンに大きく分けられます」と今村医師は話す。それぞれのパターンの主な原因を知っておこう。

病的原因

歯周病

歯周病が進行すると歯肉の位置が少しずつ後退していき、歯の根元部分が露出する。この露出された部分はセメント質と呼ばれる薄い層で守られているが、すぐ内部が歯髄であるため、痛みを感じやすい。

虫歯

虫歯でエナメル質に大きな穴が開くと象牙質が露出されてしまい、それだけ神経に近づくため知覚過敏のリスクが上がる。今村医師は「デスクワークの多い方は何かと手が出やすいため間食が増えがちですが、日に何回も糖分の入ったコーヒーやおやつ、酸味の強い食品ばかり食べているとエナメル質表面は虫歯になりやすく、結果として知覚過敏を招きやすいです」と忠告する。

●原因の一つ・トゥースコンタクティングハビットって?
病気以外の原因

加齢

年齢を重ねると歯肉の位置が少しずつ下がってくるため、歯周病と同じ理由で知覚過敏を招きやすい。

乱暴な歯磨き

歯をゴシゴシと磨く乱暴な歯磨きは歯の表面のエナメル質を傷つけ、その厚さをすり減らしてしまう恐れがある。毛先がやわらかめのブラシで力を入れすぎず効果的にブラッシングをするように。

酸性の飲食物を摂取する

炭酸飲料にビールやワインといったアルコール類のほか、かんきつ類などのすっぱい食べ物は、いわゆる「酸性の食べ物」だ。これらの飲食物を過度に摂取すると、歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」になる可能性が高まる。歯が溶ける=エナメル質が溶かされるということで、今村医師は「果糖が多くてすっばいオレンジなどのかんきつ類の食べすぎはよくないですね」と解説する。

慢性的なトゥースコンタクティングハビット

トゥースコンタクティングハビット(T.C.H: tooth contacting habit)とは、歯ぎしりや食いしばりなどの「歯が接触するクセ」の総称。 強い圧力で歯と歯がこすれあう歯ぎしりや食いしばりは、エナメル質が摩耗するため象牙質が露出されやすくなる。

このほかでは、「ホワイトニング用の薬剤が象牙細管の穴に入る」「たまっていた歯石を取り除いたことで象牙質がむきだしになる」などの原因がある。

○知覚過敏は初動が大切

口腔(こうくう)内で知覚過敏になりやすい歯(場所)は特にないそうだが、痛みが出始めた際の初動の重要性を今村医師は説く。

「いきなり全部の歯がしみるというわけではありません。痛みが局所的な段階で歯医者に行って診断してもらってください。食いしばりやかみ合わせ、虫歯、歯周病が原因だと知覚過敏が全体に広がっていく可能性があるので、それに対しての治療をしていくことになります」。

歯磨きや食生活が問題だった場合、日常生活におけるケアを変えて対応していくことになる。

「加齢が原因ならば完治できないため、継続的に起こる知覚過敏に対応するためのホームケア術を覚えないといけません。強引な歯磨きが問題ならば、ご自身のやり方を変えてもらう必要性もありますしね」。

痛みが伴うことは変わりなくとも、そこに至るまでの原因が数多くあるうえ、原因が複合的なケースもあるため、その見極めが大切になる。知覚過敏になる可能性は誰にでもあるため、上述の疾患を招きやすい原因に心当たりがある人は、今日から改善してみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。表参道デンタルオフィス 矯正歯科。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。

(栗田智久)