元大阪市長の橋下徹氏(「アフロ」より)

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 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)離脱宣言やマイノリティ(社会的少数者)への差別発言などで相変わらずお騒がせのドナルド・トランプ次期米大統領ですが、大方の予想に反して当選した時は本当に驚きました。

 日本国内の各政党は、選挙前にはクリントン政権とトランプ政権の双方の誕生を想定して勉強会を開いていたのですが、集まってくる情報はほとんどが「ヒラリー・クリントン候補優勢」というものでした。そのため、誰もがクリントン候補の勝利を信じて疑っていなかったのです。筆者もそうでした。

 しかし、実は永田町の中にもトランプ氏の勝利を予想していた国会議員たちも何人かはいました。たとえば、日本維新の会の一部のメンバーです。

 維新の会は現在、衆議院議員15名、参議院議員12名で構成され、国会議員ではない大阪府知事の松井一郎氏が代表を務め、参議院議員の片山虎之助氏が共同代表という異色の政党です。

 維新の会は、ご存じのようにかつては元大阪市長の橋下徹氏が代表でしたが、橋下氏はすでに表向きは政界から引退したことになっています。なぜなら地上波のテレビ局で冠番組を持たせてもらっているため、特定の政党とのかかわりは持たない約束になっているからといわれています。

 一時は首相待望論も出た橋下氏ですが、大阪都構想などでさんざんバッシングされましたし、今しばらくは政界とは距離を置くようです。それでも、橋下氏は大阪などではまだ人気があります。だからこそテレビ番組のレギュラーにも起用されるのです。

●トランプ氏と橋下氏の共通点

 橋下氏の人気の秘密は、「率直な言葉で国民に直接語りかける姿」や「建前でなく本音で国民にぶつかる姿」、そして選挙資金は乏しくても、「事業家の視点を取り入れ、戦況をひっくり返した姿」でした。

 そう、トランプ氏にそっくりです。思えばトランプ氏も最初はほとんどのメディアで“泡沫候補”扱いされていました。維新の会のメンバーは、橋下氏の姿を近くで見ていたため、早くからトランプ氏の選挙戦略に共通点を見つけたのかもしれません。そのため、トランプ氏の勝利が確定した時も、他政党のように驚き慌てふためいたりはしていなかったようです。

 それを「先見の明がある」と評価するかはさておき、トランプ陣営の選挙手法からは学ぶべきものも多くあるようです。その手法を直接学ぶために、維新の会は12月5日からアメリカへ視察団を派遣するといいます。すでに「人脈」があるということでしょう。もしかしたら、維新の会はこれから伸びるかもしれません。

 余談になりますが、最近の橋下氏の話題といえば講演料の高さでしょう。維新の会所属の国会議員が政治資金パーティに講師として橋下氏を呼んだ場合、「一律200万円」の講演料を請求されるそうです。もちろん、維新の会以外の団体からの依頼でも、同じ金額です。一律の金額を定め、「特定の政党に肩入れしていない」という態度を見せているのでしょう。

 話題沸騰中の小池百合子東京都知事の政経塾「希望の塾」での講演にも、橋下氏は200万円を請求して話題になりました。それを「高い」と感じた運営側の都議が維新の会の渡辺喜美参議院議員に仲介をお願いし、それを不快に感じた橋下氏が講演を断ったことが報道されました。

 以前は100万円単位の講演料も珍しくはありませんでしたが、このご時世ですから、少なくとも有権者にいい印象は与えないのではないでしょうか。実際に講演をされている著名人に話を聞くと、「安くするとどんどん頼まれてしまって、断るのが大変」なのだそうです。橋下氏クラスになると、そういう事情もあっての価格設定かもしれません。
(文=神澤志万/国会議員秘書)