星野佳路(ほしの・よしはる)  1960年生まれ。長野県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、1986年米国コーネル大学ホテル経営大学院にて経営学修士号を取得。91年1月、星野リゾートの前身である星野温泉の社長に就任。以来「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げ、圧倒的非日常感を追求した滞在型リゾート「星のや」をはじめ、全国で宿泊施設、スノーリゾートを展開している

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東京・大手町に開業した「星のや東京」。都市に出現したこの日本旅館は、星野リゾート内では「ベースキャンプ」と位置づけられているそう。その真意とは何か。星野佳路氏がアメリカ留学時代に痛感した、日本のホテル会社が世界で通用しない理由、そして旅館業におけるソーシャルメディアの有用な使い方とは。連載第77回、78回に続き、星野氏と武田隆氏の対談の最終回をお届けします。

「日本旅館」を世界のホテル
カテゴリの1つにするという野望

武田 2016年7月に開業した「星のや東京」は、日本旅館のDNAを引き継ぎ、その魅力や価値を再定義する高級旅館です。おもしろいのは、場所が東京・大手町であること。大都市のビジネス街に日本旅館をつくった理由は何でしょうか?

星野 日本旅館が都市で機能するのかどうか、試してみたかったからです。星野リゾートの目標は、日本のホテル会社として世界に進出すること。その一歩が、この「星のや東京」です。1980年代には、日本のホテル会社がいろいろなかたちで海外に進出していきました。でもこの時代の海外進出は、結果的にうまくいきませんでした。

武田 なぜなのでしょうか。

星野 それぞれの企業にとっての固有の事情もあったでしょう。でも私は、日本のホテル会社が日本文化に対する期待を背負っていることが原因だと考えています。海外の人は「日本のホテル会社が来るのだから、どこか日本的な魅力があるに違いない」と思っている。それは使命であり、重荷でもあるんです。つまり、西洋のホテルと同じようなカッコいいホテルを建設・運営しても認めてもらえない。私は、バブル期にアメリカのコーネル大学大学院でホテル経営学を学び、シカゴやニューヨークで日系ホテルの開発や運営に関わったときに、そのことを間近で見てきました。

武田 世界の一流ホテルの真似をしても、受け入れられない。

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