H.I.S.とANAが宇宙旅行商業化に向け宇宙機開発ベンチャーと資本提携。2023年12月運行開始を計画

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旅行代理店のH.I.S.とANAホールディングスが、名古屋のベンチャー企業PDエアロスペースとの資本提携を発表しました。3社はこの提携により2023年の商業宇宙旅行実現を目指します。2007年設立のPDエアロスペースは航空宇宙、自動車、IT技術の研究開発などを行う技術企業で、そのなかでも主軸事業として宇宙機開発を地道に続けています。

そのPDエアロスペースが現在開発中なのが、ジェット燃焼とロケット燃焼を切替可能な「次世代エンジン」と、それを搭載した「完全再利用型弾道宇宙往還機」。

次世代エンジンのほうは、構造こそ単純ながら理論熱効率が高く超音速飛行を可能とするパルスデトネーションエンジンを採用。独自の特許技術によってジェットエンジンとロケットエンジン両方の役割を1基でこなします。

またこのエンジンを搭載する宇宙往還機は、イメージ図こそずんぐりむっくりした感じながら、飛行場から通常の飛行機のように飛び立ちそのまま上昇し宇宙空間に到達、大気圏再突入後滑空して再び飛行場へと戻る工程を単体でこなすことが可能です。エンジンは降下中に再点火して推力を得ることも可能なため、たとえば一時的に飛行場へ降りられない場合でも上空で待機することが可能です。

PDエアロスペースは宇宙往還機実現のため数年前よりスケールモデルによる飛行実験を繰り返しているものの、やはり問題となるのはその開発費用かもしれません。現時点では実際の宇宙機開発には予備機込みで170億円ほどがかかる見通しとのこと。

今回は、宇宙往還機開発とそれを利用する商業宇宙旅行事業実現への第1歩として、H.I.S.とANAホールディングスが合計5000万円を出資してPDエアロスペースと資本提携しました。イーロン・マスクやジェフ・ベゾス、リチャード・ブランソンのような桁外れの富豪が設立した海外宇宙ベンチャーを見慣れているとたったの5000万円、という気もしないでもないものの、PDエアロスペースはこの資金で人員増強を実施し、必要に応じて増資などを得ていく計画です。またANAは宇宙往還機パイロットの育成、H.I.S.は宇宙旅行販売といった得意分野を受け持ちます。

PDエアロスペースの宇宙機はブルー・オリジンのロケット/カプセル型やヴァージン・ギャラクティックの親子機型のような上空での機体分離プロセスが不要であり、その分トラブルの発生要因が少ないと考えられます。またPDエアロスペースは微小重力下実験や超小型人工衛星の軌道投入用に無人タイプの宇宙往還機も開発中とのこと。

SpaceXのように火星を目指すまではないにせよ、夢は語ったもん勝ち。海外企業だけでなく名古屋発の宇宙ベンチャーの今後にも期待したいところです。

ちなみに、日本企業の宇宙への進出としてはキヤノンも12月2日にロケット開発へ参入すると発表しています。こちらはJAXAに機体制御システムを供給するとのこと。今後は日本国内でも宇宙関連の話題が増えそうです。