情報番組のコメンテーターを務めるフリーアナウンサーの小松美智子さんに、毎日たった1分でできる発声トレーニングの方法を聞きました。用意するのはコップ一つだけ。今日からさっそく実行できますよ。


コップを使った発声トレーニングの方法とは

「ごめん、もう一度言ってくれない?」――。上司や同僚とオフィスで話をしている時、こう聞き返された経験はありませんか。仕事中はただでさえ忙しく、自分でも知らない間に早口でしゃべっていたり、その逆に、ボソボソと話したりしてしまうのはよくあることです。

 しかし、会社でのコミュニケーションは相手に分かりやすく、正しく伝えることが基本。相手に聞き取れない言葉を投げかけるのは、コミュニケーション以前の問題と言えるでしょう。

 TBS系情報番組「ひるおび!」(月〜金 前10:25)でコメンテーターを務めるフリーアナウンサーの小松美智子さんによると、毎日たった1分の自宅トレーニングでこうした話し方を改善できるそう。しかも用意するのはコップ一つだけです。

 これなら、日々仕事に追われるビジネスマンでも実践できるはず。さっそく小松さんにやり方を聞きました。

コップをテーブルに置く動作

「コップの種類は問いません。まず八分目まで水を入れてください」と小松さんは言います。コップの持ち方も大事。「片方の手で指をそろえてコップを持ち、逆の手を底に添えましょう」。背筋を伸ばして、コップを自分の胸の前に持ってスタンバイします。

「目の前に大切なお客様がいて、その方へお茶を出すと想定し、コップをゆっくり丁寧にお客様の前のテーブルに置いてください」。その際、息を大きくゆったり口で吐きながら、息を吐き切るタイミングに合わせてコップを置いてみましょう。コップを乱暴に置くと水がこぼれてしまうため、置き終わるまで、気を緩めず、集中して静かに置くようにします。息をゆったり吐くためには、吐く前に鼻で息をしっかり吸うことがポイントです。これを数回繰り返し、呼吸を整え、ゆっくり吐くことを意識します。

 次はコップを置く動作に合わせて言葉を発してみます。「どんな言葉でも構いませんが、あいさつのように、比較的短い言葉の方が練習しやすいです」。今回は、「ありがとうございました」を選びます。言葉は「吐く息に乗せるような感じで発してください」。

 大きく鼻から息を吸い、コップをテーブルに置く動作に合わせて、息をゆったり吐きながら「ありがとうございました」と言ってみます。ここで大切なことは「語尾の『た』を発し終えるタイミングでコップを置く」こと。こうすることで語尾をしっかり発音できるため、言葉全体が引き締まり、相手に聞きやすくなるそうです。

発声に自信→会話に余裕

 トレーニングの成果は個人差があるものの、1カ月も続けていれば少しずつ効果が出るといいます。

「語尾があやふやになるケースは、自信のなさや断定を避けたいなどさまざまな心理状況が働いていることも考えられます。声と心と身体は一つにつながっています。伝える力を鍛えるには、心と身体と発声技術をバランスよく磨く必要があります」

「発声のベースは呼吸。安定した呼吸があって、初めて相手に聞き取りやすい言葉を発することができるようになります」

 呼吸コントロールができて、発声に自信がつくと、会話そのものにも余裕が持てるとのこと。「『言葉は身の文』ということわざがあるように、呼吸や言葉もその人を表します。正しい技術を身につけ、言葉を大切にする心を養っていきたいですね」。

(オトナンサー編集部)