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■年末年始 体のダイエットの次は「家のダイエット」だ

さて、年末である。忘年会、クリスマス、お正月……。まあ、太らないはずがない。だが、私の体重は変わらない、と誓うことができる。声を大にできる。

以前、レポートしたように、あるダイエット法で私はスリムなボディを手に入れた(運動ゼロで「2トン」痩せさせた、美人先生の「殺し文句」http://president.jp/articles/-/17734)。最大マイナス9kg。そこから1kgほど戻ったが、ほぼ無理なくキープできている。なぜ、リバウンドしないのか。それは「意識」まで変えることができたからだ。

カラダが細く軽くなると、自然と動きも機敏になる。そして、自分に目が向くようになる。

「もっときれいになりたい」

そんな欲が自然と湧き上がってくるのだ。その欲は、やがて自分から離れ、身の回りへと広がり、視野はさらに広がっていく。そして、到達したのだ。「家もダイエットしたい」という境地に。

「ダイエットと断捨離は似ている」

誰かがそんなことを言っていた。無駄な体脂肪を落とし、体内に摂取するものを厳選していくことは、家を整理整頓してシンプルにすることと似ている。私の次なる欲望は、美しい家づくり。かつてお世話になったダイエットの先生も言っていたっけ。

「家は女のカラダです」

確かにそうかもしれない。そんな思いを持ち始めた頃、知人から一通のメールが届いた。それは、私の心を見透かしたかのような内容だった。知人は片づけのプロ「美的収納」を生業としている女性。どうやら我が家にはモノがあふれかえっていると誰かから聞いたらしい。

■テッテー片付けで我が家に“革命”いい運気!

恥ずかしい話だが、渡りに船とはまさにこのこと。善は急げと、1カ月後に、我が家(2LDKの90平方m)に件の片付け隊がやって来て整理整頓してくれる手はずとなった。収納サービス「美的収納」を展開するフェリーチェ(東京・中央区)代表でプランナーの草間雅子さん率いる片付け隊による計4回の訪問は、大げさに言えば、自分史上指折りの衝撃的な体験だった、とまずはお伝えしたい。

片付け隊の訪問によって「我が家で変わったこと」は主にこうした点だ。

・キッチンのシンク回りに調味料など何もモノが置かれていない。
・玄関に靴は出ていない。
・タオルは一流ホテルのリネンの棚のように畳まれている。
・空間が増えて、モノが見えやすくなっている。
・洋服は衣装ケースにしまっていたが、主にハンガーにかけ、衣替えはしなくなった。

加えて、次のような「効果」もあった。

・家がきれいになった途端、心の余裕が生まれた。
・時間も生まれ、家事が、すこぶるはかどるようになった(夫が料理するように!)
・夫婦の会話が増え、家族関係もよくなった。

どうってことがないように聞こえるかもしれない。しかし、我が家に“革命”は起きた。そんな気分だ。そして、その革命の勢いは今なお失われていない。運気のようなものがあるとすれば、それは確実にいい方向へ流れている。そう肌で感じるのだ。

片付けにお金を払うのはいかがなものか。

そう思う人はいるだろう。だが、私はやる価値があると思う。有形無形の開運がやってくれば、自分の仕事にもきっといい効果が表れるのではないか。実際、私のもとには想定外の仕事が舞い込むようになった。

■片付け隊「体温計5つ、爪切り4つ、必要ですか?」

では、どうやって、その革命は起きたのか。家と私に、どんな化学変化が起きたのかご報告したい。

まず、前提として。自慢じゃないが、私は捨てられない女だ。年を重ねるごとにモノはたまっていく一方。家には、何もかも飲み込む“ブラックホール”空間がいくつかある。片づけが大好きで、モノに執着がなく、1着買うと必ず1着捨てる夫の行動原理がよく理解できない。

そんなザ・捨てられない女である私を、片付け隊はいとも簡単に降伏させたのだ。

訪問した彼女たちに、私は休む間もなく呼ばれ、キッチン、リビング、寝室、玄関などにあるモノの「使う頻度」「必要性」「好き嫌い」などを聞かれ続けた(必要なら捨てなくていいといわれるのは救われた)。

Q:これは好きですか。
A:あまり好きではありません。
Q:この先、使いますか。
A:たぶん使いません。
Q:ではなぜとっておくのですか。
A:んー、いらないかもしれません。

などといった禅問答のような繰り返しだ。

圧巻は3回目の訪問時だった。草間さんは食器棚の前で、1時間近く、ああでもない、こうでもない、とまるでパズルを解くかのごとく格闘していた。私と禅問答しながら「使う頻度」「色」「素材」「形」「動線」を考慮してそれは見事に収納されたのだった。

私は自分に問いかけ、そしてモノを手放し続けた。最初はその判断の連続でぐったりしたが、不思議なことに次第に、体内から膿がでていくような気分にとらわれた。いままで家の中に散らばっていたモノたちは、あるべきところへ、美しく収納されていったからだ。あるべき所に収まる。これこそ私が望んでいたことだった。

草間さんによれば、「大好き」と「よく使う」モノを選んでいくうちに自分のこだわりが見えてきて、次第にすきなものだけに、囲まれて暮らせるようになるのだという。その通りだと思った。

驚くべきことに、片付け隊の報告によれば、爪切りは我が家の中に全部で4つあった。体温計は5つあった。

そこで、「体温計は5つ必要ですか」と問われ、「いえ、2つあればいいですね」となる。いらなくなったものは、人にあげたり、処分したり、ネットの買い取りサービスを利用したりして、随分とスッキリしてきた。

ずっと探していたダイヤのピアスの片割れや現金3万円、商品券も見つかった!!

■20万円かかったが、仕事運・金運がアップ!

正直に言えば、計4回の訪問は精神的にも肉体的にもキツかった。それに1回目の訪問前には私なりに時間をかけ徹底的に整理整頓した(ほとんどムダな抵抗だったが)。訪問直前はプレッシャーで胃が痛くなり、病院にいったら「たぶん十二指腸潰瘍」と診断された。

笑われるかもしれないが、結婚当初の夫婦の理想は「パークハイアットホテルみたいな家にしたい」だった。そんな快適な空間で私は「もっと読書や植物の手入れをしたい」と思っていた。だが、4日間の「ダメ出し」でつくづく現実を知った。打ちのめされた。

しかし、草間さんは優しく言ってくれたのだ。

「部屋が雑然と美しくないのは、家主がだらしないのではなく、モノがあるべきところにちゃんと納まっていないから。仕組みができていないだけです。自分を責めてはいけませんよ」

そうか、私がいけないのではないのか。そうと思うと随分気持ちがラクになった。

家の細部まで、片付けていただき、しかも美しくすべてが収まり、あとは、使ったらそこに戻すだけだ。タオルのたたみ方もホテルのようだし、キッチンに出ていた細かな調味料も動線に沿ってあるべきところに収まった。

いったんこの仕組みができてしまえば、モノは減少傾向へ進むという。リバウンドもしないという。もはやブラックホールはない。自分がどんなものをどれだけ持っているか把握できたので、今後目的をもって買い物もできる。そう確信できる。

美しく収納し、好きなものに囲まれて暮らす。その生活習慣が、生活のノイズを消し去ってくれる。「好きなこと・モノ」や「やるべきこと」を明確にしてくれる。そうした美的「収納思考」はまた、着実に仕事につながっている。前述したように、仕事が確実に増えたのだ。

見ず知らずの人を我が家に迎え入れるのはハードルが高いだろう。費用もそれなりにかかる(3人のスタッフで1時間1万5000円、1日5万〜7万円が目安。筆者宅のモノの量で4日間で計約20万円)。しかし、この経験は悪くない。それに草間さんを含めスタッフはみな、凛として美しかった。作業を見ていて、気持ちよかった。やはり、家をキレイに保てる人は、自身もキレイに整える人なのだと感動したのだった。

(女の欲望ラボ代表 山本貴代=文)