■東京五輪のホープ、石川祐希インタビュー後編

 石川祐希選手のインタビュー後編では、2度目のセリエA挑戦や卒業後の進路、最近のプライベートについて話を聞いた。

―― 高校時代から比べると、だいぶ体が大きくなりましたが、今はどんなトレーニングをしているのでしょう?

石川祐希(以下、石川):今は膝の状態もあるので、下半身のトレーニングメインでやっています。1年生2年生の時は、上半身下半身の全体的な土台を作るトレーニングをしていました。だいぶベースができてきたので、これからはさらにケガのない体作りをできればいいと思っていますし、プラスしてジャンプ力強化をしたいですね。

―― 12月から合流するイタリアのセリエAラティーナが、3勝9敗(12月3日現在)と苦しんでいますが、気になりますか?

石川:映像はちょこちょこ見ています。チームが負けているのは非常に残念ですけど、自分は途中から合流するので、(そこで勝利することで)アピールするチャンスが増えたというのも確かなこと。しっかりアピールして、スタメンを常に張れるように持っていければいいかなと思います。

―― ラティーナでは成績低迷を理由に、石川選手にオファーしてくれたナッチ監督が解任されてしまいましたけど。

石川:辞めるとは思ってなかったので驚いたことは確かですが、別に彼が辞めたからといって、契約がなくなったわけではありません。ナッチ監督なら試合に出られる保証があったというわけでもないですし、監督が代わっても自分はやるべきことをやるだけなので、そんなに気にしていないです。

―― 2度目のイタリアですが通訳さんはいますか? 移籍を発表したときの記者会見で、イタリア語の勉強をすると言っていましたが、自己紹介などはできるようになりました?

石川:いえ、通訳はいないと思います。イタリア語は難しい言葉じゃないと思うので、定冠詞とかそういう細かい部分を気にしなければ、ある程度はできると思います。

―― ラティーナのツイッター公式アカウントが「祐希、早く来て!」とツイートしていました。

石川:ツイッターですか? あんまりわからないです。でも、ラティーナのマネージャーの方と連絡を取っていて、「いつ来るんだ、早く来てくれ」と言っているのは知っていました。自分も早く行きたい気持ちはありますが、日程は決まっているので、その時が来るのが待ち遠しいですね。

―― 先日、柳田将洋選手(サントリー)にインタビューをしたときに、石川選手の2度目のセリエA行きについて聞いてみました。すると、「すごいことだとは思わない。彼くらいなら、むしろ普通にやってくれると思うから」と。

石川:マサさん、そんなこと言ってましたか(笑)。まあ、単純に頑張りたいなあと思います。僕もびっくりされることとは思わないです。日本の選手はあまり注目されていないですけど、活躍できるようなら、他の選手でも"世界"で戦えるという評価になりますよね。あとは、自分に続いて海外に行く人がもっと増えてくれるかどうかだけだと思います。

―― 2シーズンぶりのセリエAですが、抱負をお願いします。

石川:前回は初めてだったし、セリエAの中でもすごく強いチーム(モデナ)に行ったので試合に出られず、実績も残せなかった。モデナはイタリアやヨーロッパの代表選手がたくさんいて、あの当時は出場するのが難しかったかもしれない。でも、今はワールドカップやOQT(オリンピック世界最終予選)、ワールドリーグ、海外遠征といろいろ経験してきたので、その成果を発揮することがまず第一かなと。どれくらいできるか、自分の肌で感じることもそうですし、新しいことをひとつでもふたつでも見て、体験してくることができればいいですね。

―― 中垣内祐一さんが全日本の次期監督に就任しました。新監督のことは、どれくらい知っていますか?

石川:全然プレーとか見たことがない。堺ブレイザーズの部長さんなので、ちょっとお話したことはありますけど、詳しく知っているわけではないですし、どういうチーム作りをしていくのかもわからないです。でも、そんなことは気にせず、選手はしっかり上の目標を持って、やっていきます。

―― 卒業後の進路はどう考えていますか?

石川:まだ(プレミアチームを持っている)企業の話を聞いている段階です。イタリアにも行きますし、柔軟な発想でやっていければいいかなと思います。

―― 9月に発表された新リーグ「スーパーリーグ」構想についてはどう思います?

石川:バスケもプロ化という流れになったので、それに続くとなると、やっぱり(体育館の使用などは)バスケが優先されるのかな。でも、スーパーリーグになると、選手はチームと契約することになるじゃないですか。企業に(社員として)入ると、海外に出してくれる、くれないという話で揉めたりしますよね。

 自分はやっぱりバレー選手も海外に出た方がいいと思うんです。国内だったら、いつでもできるので、(若いうちに)いろんな経験をしておくのはすごく重要ですし、決してマイナスにはならない。プロとなると契約期間がきっちり決まるので、移籍とかも可能になりますよね。そういう部分についてはすごくよいのかなと思います。

―― プライベートについてお聞きします。最近のマイブームは何ですか?

石川:最近はずっと何もやってない。バレーボールしかやってないですね。その前は、海外のバレーの映像だとか、Vリーグの映像を見たりしてましたが。

―― ドラマなどは見ていないですか?

石川:見てないです。1回も。

―― でも、いま話題の「恋ダンス(ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のエンディングで流れるダンス)」を踊れるという噂を聞きましたよ(笑)。

石川:(笑)。いやいやいや、それは......。韓国遠征のときにヒマすぎたので、そのダンスのところだけ見て、やっていました。ドラマ自体は録画をしてあるんですけど、まだ1回も見ていないです。

―― 試合前に聴く曲は決まっていますか?

石川:決まってないです。ランダムです。

―― 現在大学3年生、キャンパスライフはいかがですか?

石川:もう少し経ったら(イタリア挑戦で)授業に出られなくなるので、今はきちんと授業に行っています。年明けは日本にいないので、試験が受けられないので、それを課題で代行できるように、先生たちにお願いしている感じです(笑)。

―― 最後に、ファンの皆さんに向けて一言をお願いします。

石川:これからも頑張っていくので、応援してください。また、自分は大学生でインカレも残っているので、この大会を会場やテレビで応援してほしいですし、他の選手もいるので、そちらの方も応援をお願いしたいと思います。


 高校バレー史上初の6冠制覇やインカレ連覇など、バレーボールのエリート街道を突き進んできた石川祐希を「日本バレー界、最高の逸材」という関係者は少なくない。しかし、リオ五輪出場を逃すというバレー人生で初めてといっていい挫折を味わい、再びイタリア武者修行に向かう。彼が何をつかんで帰ってくるのか、それは全日本男子の未来にも大きくかかわってくるかもしれない。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari