Q:今年のノーベル生理学・医学賞は、「オートファジー」の仕組みを解明した大隅良典・東工大栄誉教授が受賞しました。このオートファジーを利用すれば様々な病気が予防できると聞きました。どのような方法があるのでしょうか。
(48歳・保育士)

 A:成人は1日に約200グラムのたんぱく質が合成されていますが、実際に食事から摂取しているたんぱく質の量は60〜80グラム程度です。これはどういうことかというと、細胞の中でたんぱく質をアミノ酸に分解し、新たにたんぱく質を再利用することで不足分を補っているということです。つまり、たんぱく質の材料は、ほとんどが自分自身の分解産物です。この働きをオートファジー(自食作用)と言います。
 大隅教授はオートファジー関連遺伝子を発見しました。これらの遺伝子に変異があると、肝障害、糖尿病、神経変性疾患、腫瘍形成、ミオパチーなど様々な病気が発症します。このことから、オートファジーがこれらの病気を防いでいると考えられています。
 マウスの実験では、オートファジーがなくなった肝臓では肝臓が肥大し、肝がんが発生。神経細胞でオートファジーがなくなると、体反射に異常が起き、細胞が死ぬことも報告されています。

●カロリー制限が最善の方法
 また、オートファジーの機能は、加齢によって低下します。そうなると動脈硬化や心筋梗塞を促進し、パーキンソン病、感染症なども発症しやすくなります。
 それでは、どうすればオートファジーを健康増進や老化予防、病気予防に活用できるのでしょうか。現段階でもっとも確実な方法はファスティング(断食)です。
 オートファジーは1時間の栄養飢餓で発現します。マウスの実験では、24時間飢餓状態におかれると、猛烈にオートファジー誘導が見られると報告されています。
 断食の経験がない人は、まずは1日2食、腹7〜8分目のカロリー制限をしてみてはいかがでしょうか。
 食事量を7分目に減らしたマウスやサルは、若々しいことが分かっており、そのことにオートファジーが関係していると考えられています。

首藤紳介氏(表参道首藤クリニック院長)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院、湯島清水坂クリニック等の勤務を経て、表参道首藤クリニック院長。自然療法や代替医療をはじめ、水素温熱免疫療法や点滴療法、遺伝子治療などの高度先進医療を実践。