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11月29日から12月2日にかけて、米国ラスベガスで開催されたAmazon Web Servicesの年次カンファレンス「AWS re:Invent 2016」。12月1日の基調講演にはCTO(最高技術責任者)のWerner Vogels氏が登壇し、「トランスフォーメーション(変革)」をテーマに講演を行った。

○変革するカスタマー、トランスフォーマーをサポートする、それがAWS

ITベンダーが開催するイベントの基調講演では、多くの場合、新しい製品、機能、技術や製品に焦点が当てられることが多い。しかし、今年のAWS re:Invent 2016はちょっと違った。主役はカスタマーであり、Amazon Web Servicesはカスタマーの声を聞き、それを実現することを第一にしていると、繰り返し語られた。

Vogels氏は、カスタマーのセキュリティを確保すること、カスタマーの声を聞くこと、カスタマーに選択肢を提示すること、カスタマーからのフィードバックを得ること、カスタマーが変わっていくことをサポートすること、これがAmazon Web Servicesの使命だと説明した。

○変わる「開発」をサポートする2つのサービスを披露

アプリケーション開発やシステム開発の手法は目まぐるしいスピードで変わっている。これまでオンプレミスで行ってきた開発手法は、クラウド上でサービスを展開している場合は違ったものになる。同じクラウド上でも新たなサービスの登場やWebブラウザの発展により、開発手法が変わってくる。

Vogels氏はこうした状況に対し、カスタマーにベストプラクティスを提供することが大切になってくると指摘した。クラウド上でシステムを構築するためのベストプラクティスは「Well-Architected Framework」としてすでに公開されているが、このドキュメントのアップデートを行っていくとした。カスタマーの成功経験を受けて、さらに「Well-Architected Framework」を更新するといったエコシステムを考えているようだ。

Vogels氏は開発を支援するサービスとして「AWS CodeBuild」および「AWS X-Ray」を発表した。「AWS CodeBuild」は開発を支援するサービス、「AWS X-Ray」はデバッグやプロファイリング、分析などを行うサービスだ。「AWS CodeBuild」で開発を行い、「AWS X-Ray」でデバッグを行う。この2つのサービスの提供で、Amazon Web Servicesはホスティングベースの提供からアプリケーションの開発・デバッグまで一貫した環境を提供することになる。

データの活用という面では、インタラクティブにデータを分析するためのサービス「Amazon Athena」と「Amazon Pinpoint」という2つの新しいサービスを発表。従来のサービスに加え、データを分析するサービスと通知に関するサービスを強化した形になっている。バッチプロセス向けの「AWS Batch」という新サービスも発表されている。

○変わる「セキュリティ」に向けた新サービスも

システムやアプリケーションをクラウドで構築した場合、サイバー攻撃が懸念材料となる。というのも、DDoS攻撃を実施されると、クラウドで提供されているサービスは満足に機能を果たすことができなくなるからだ。そして、サイバー攻撃が増加の一途をたどっている今、DDoS攻撃はいつ起こってもおかしくない状況にある。システムやアプリを構築する場合、セキュリティ対策はいつか実施すればよいというものではなく、最初から考えければならないというのが現状だ。

Amazon Web Servicesはこうした状況に対し、新しい2つのサービス「AWS Sheild For Everyone」および「AWS Shield Advanced」を発表した。Shieldはすでにデフォルトで有効になっており、利用に際して設定を変更する必要はないという。「AWS Shield Advanced」は24時間365日提供されるサポートサービスで、Sheildよりも手厚いサポートが必要な場合に役立つサービスとのことだ。

DDoS攻撃などのサイバー攻撃は今後も頻繁に発生することが予想される。最近、インターネットに接続しているIoTデバイスが乗っ取られて構築したボットネットを使った大規模なDDoS攻撃が発生して、話題を呼んだ。クラウドサービスにおいてもDDoS攻撃への対応策はすぐに手をつけなければならない事案だ。

○「データアーキテクチャ」に関わる課題を解決する「AWS Glue」

Amazon Web Servicesは毎年かなりの数の新しいサービスを提供している。データアーキテクチャに関するサービスだけでも複数のサービスが存在している。それぞれに理由があって提供されているサービスだが、あまりにもサービスが多すぎると感じるユーザーもいるだろう。

Vogels氏はこうした増え続けるデータアーキテクチャというAWSならではの悩みを解決するサービス「AWS Glue」を発表した。その名のとおり、このサービスは既存のデータアーキテクチャ・サービスを結合するサービスだ。複数のデータアーキテクチャを統合し、今求められているデータアーキテクチャを実現できるという。

○変わる「カスタマー」のために新たなサービスを提供

Werner Vogels氏が言う「変革するカスタマー」をサポートするためにAmazon Web Servicesが行うことは、カスタマーが求めるサービスの提供を続けることのようだ。同社は今後も新たなサービスを提供するとしており、その勢いを緩める気は一切ない姿勢を見せている。

新しいサービスはどこかのカスタマーが要求していた機能ということになるため、新たに登場するサービスから技術のトレンドを知ることや、自社のサービスに活用できる道を探すこともできそうだ。変革するカスタマーに対応するAmazon Web Servicesの変革のスピードもかなり速い。

(後藤大地)