WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

 タイガー・ウッズが、ついに復帰した

 復帰戦は、ウッズ自身がホストを務めるヒーロー・ワールド・チャレンジ(12月1日〜4日/バハマ、アルバニー・チャンピオンシップC)。ウッズとしては、およそ15カ月ぶりのツアー競技となる。PGAツアーの公式戦ではないものの、世界のトップ選手18名が集う注目トーナメントでの復帰ゆえ、米メディアでは大会前から"ウッズ祭り"といった盛り上がりを見せていた。

 当初、ウッズのツアー復帰は10月、2016−2017シーズン開幕戦のセーフウェイ・オープンの予定だった。しかし、大会開幕を3日後に控えた月曜日、「自分のゲームがまだ脆くて壊れやすい」と、トップ選手と一緒に戦う競技レベルにないことを理由に、突然棄権した。

 そのため、今回も実際にスタートするまでは、何が起こるかはわからなかった。おかげで米メディアも、大会前の数日間はウッズの一挙一動を詳細にレポートし、「ウッズは今度こそ、本当に復帰するのか?」「4日間、プレーすることができるのか?」などと記して、騒ぎ立てていた。

 結果的には、無事に復帰。初日は1オーバー、17位でスタートした。

 ウッズは今回、早々に現地入りすると、日曜日にはドライビングレンジで2時間以上もボールを打ち込んだ。その後、会見にも臨んで、「みんな、ボクが死んだと思っているかもしれないけど、こうやって生きているよ」と、ジョークを飛ばすなどして、元気な姿をメディアの前で披露した。

 気になったのは、ウッズの使用クラブとボールである。ウッズとともに歩んできたナイキ社がエクイップメント(ゴルフ用具)事業から撤退することとなり、ウッズも用具の変更を余儀なくされているからだ。

 ウッズが手にしていたのは、ドライバーがテーラーメイドで、ボールは日本のブリヂストン製のものだった。用具の契約等は不明だが、ブリヂストン社によると、ボールについてはウッズとの契約はなく、ウッズからリクエストがあって複数のボールを送ったところ、それをそのまま彼が使用することになったという。

 月曜日にはプロアマ戦に臨んだ。風速15m以上の強風が吹く中、ジャスティン・ローズと、ニューヨーク・ヤンキースで活躍した元メジャーリーガーのデレク・ジーター、同じくティノ・マルティネスと一緒に9ホールをプレーした。

「この風の中でも、タイガーのショットは素晴らしかった。復帰戦は大いに期待できる」

 そう語ったのは、同じ組で回ったローズ。リオ五輪金メダリストのお墨付きによって、本選でのプレーにも期待が膨らんだ。

 ところで、ウッズはジーターと一緒にプレーできることにかなりの興味を抱いていた。現役時代には「ゴルフなんてしたこともなかった」というジーターが、2年前に引退してから、この2年間はすっかりゴルフにはまって、あっという間にハンデ10の腕前になったと聞いていたからだ。

 そして9ホールながら、ジーターとのラウンドを終えたウッズは満足気にこう語った。

「デレクからはいろいろと質問されたよ。しかも、いいポイントをついたものばかりだった。本当にうまくなりたいんだな、と感心したよ」

 ウッズがジーターとのプレーを楽しみにしていた理由は他にもある。「デレクとはプロになった時期がほとんど同じなんだ。そして、ボクらは同じ時代を歩んできた」からだ。

 ジーターがメジャーデビューを飾ったのが、1995年。その後、ヤンキースひと筋で活躍し、メジャーリーグを代表するプレーヤーとなった。ウッズは、その翌年にプロに転向。以来、圧倒的な強さを見せて、世界一のプレーヤーとして君臨した。ジャンルは違っても、トップアスリートとして同じ時代にスポーツ界を引っ張ってきた"同期"という思いがあるのだろう。

「デレクはヤンキースでチャンピオンになって、ボクはメジャーで勝って世界の頂点に立った。ボクたちは、それぞれのキャリア最高の時期を、同じ時代に過ごしてきたんだ」

 ウッズはそう言って、ジーターと自らの素晴らしい全盛期へと思いを馳せていた。

 ただ、そのジーターも2年前、40歳で現役を引退した。彼らと同じ時代を彩ったスーパースターと言えば、NBAのLAレイカーズひと筋で活躍したコービー・ブライアントもそうだが、彼も今年の4月、37歳で現役生活にピリオドを打った。

 その点、ゴルフはどんな競技よりも選手生命が長いスポーツと言われている。実際、ジャック・ニクラウスがメジャー18勝目を挙げたのは、46歳のときだった。また、40代にプライムタイムを迎える、いわゆる"遅咲き"と呼ばれる選手も多くいた。当然、ウッズもこれから以前のような輝きを取り戻してもおかしくない。

 しかし、ウッズが出現して"アスリートゴルフ"の時代へと代わったことで、選手生命の長さも変わってきているかもしれない。ゴルフアナリストのブランデル・シャンブリーの言葉を思い出す。

「今の選手たちの体は、過去の選手よりもずっと磨耗している。ウッズのヒザ、腰がいい例だ。パワーを使いすぎることで、選手生命が短くなっている」

 ニクラウスやアーノルド・パーマーの時代は、決してパワーゲームではなかったからこそ、長きにわたって活躍できたのかもしれない。だとすれば、ジーターやブライアント同様、ウッズが引退する日もまもなく訪れるのだろうか。

 ウッズは、現在40歳。自らが築いた"アスリートゴルフ"のせいで、そのキャリアが短くなってしまったとしたら、皮肉としか言いようがない。

 それでも、ウッズはまだまだ現役を続けようと必死に戦っている最中だ。"アスリートゴルフ"の今後の行方を占うことになりそうな、ウッズの復帰戦をまずはしっかりと見届けたい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN