『写真:アフロディーテ/アフロ』

 12月2日、カジノの合法化を目指す「統合型リゾート(IR)推進法」が衆院委員会で可決された。同時に、ギャンブル依存症対策を強化することなどを盛り込んだ付帯決議も採決された。自民党は6日に衆議院を通過させ、会期末までに法案を成立させる方針だ。

 カジノ解禁に慎重な公明党は、賛否に関しては党議拘束を外し、個々の議員の判断に委ねた。民進党や共産党は「委員会運営が強引だ」として採決に抗議した。

 確かに、地域の環境悪化やギャンブル依存症の増加など、カジノが生むトラブルは、法律で防げるかどうか未知数だ。実際にカジノのある近隣国では、さまざまな弊害が起きている。

 韓国では1967年に外貨獲得のためカジノが解禁された。さまざまな不正が発覚したため、わずか2年後に外国人専用となったが、カジノ自体は増え続け、全国で16カ所が建設された。

 2000年には、韓国人も楽しめる「江原ランドカジノ」がオープン。江原には年間300万人が訪れ、衰退していた町は活気を取り戻した。

 ところが、同時に問題も発生した。カジノにハマり過ぎて依存症となり、全財産を失う人が出てきたのだ。すべてをなくし、周辺にたむろする「カジノホームレス」が生まれたほか、破産や自殺にいたるケースも続出。

 事態を重く見た韓国政府は、月15回までの入場制限を定め、2カ月続けて15回通うと「賭博中毒センター」でのカウンセリングを義務づけたが、解決には至っていない。

 マカオは別の問題を抱えている。マカオは、1999年にイギリスから中国に返還された。それまでローカル感の強かったマカオのカジノだったが、2002年、経営ライセンスの対外開放を行い、世界一のカジノ都市へと変貌を遂げた。

 時期を同じくして中国からの観光客が増え、カジノは連日大盛況となった。好景気を背景に大型リゾート施設が次々とオープンしたが、2014年、マカオを訪れた習近平国家主席が規制を強め、マカオのカジノは一気に衰退した。

 この両国の問題は、そのまま日本の問題になりうる。まず、ギャンブル依存症の対策がはっきりと見えてこない。そしてカジノ目当てに訪れる外国人観光客の動向も不透明だ。2015年の外国人観光客数は中国が第1位で約500万人弱いるが、わざわざ日本でギャンブルをするかどうかはわからない。

 カジノ解禁となった場合、プラス面も大きいが、マイナス点も相当ある。そのため、法案は2013年以来、毎年審議されてきたにもかかわらず、可決されなかった。だが、今年はわずか6時間程度の審議で通過した。安倍内閣の執念が実った形だ。