外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、「ドル/円は、当面は115円台を上限にした値固めのもみ合いになりそうだが、17年には1ドル=130円をめざし一段のドル高・円安に進むだろう」と見通す。

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 外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、「ドル/円は、当面は115円台を上限にした値固めのもみ合いになりそうだが、17年には1ドル=130円をめざし一段のドル高・円安に進むだろう」と見通す。

――当面のドル/円の見通しは?

 月足が一目均衡表の転換線・基準線を回復したことで、2016年の年初からの下押しが一服した可能性がある。100円割れは遠のいたとみていいだろう。

 週足は雲の中にいるが、115円台は抵抗の多い水準なので簡単に抜け出すことは難しいだろう。現在の雲の上限が115.412円、15年6月高値125.853円から16年6月安値98.798円の下げ幅の61.8%戻しにあたる115.518円、また、今年1月20日の安値115.977円などが位置している。

 今月のスケジュールを考えても、大きくは動きにくいといえる。14-15日の米FOMC、19-20日の日銀の政策決定会合については、すでに、FOMCでの利上げは織り込まれた水準であり、かつ、日銀は金融政策を「量から金利」に目標を移したばかりで政策変更はないとみられ、材料にはなりにくい。日銀の政策決定会合を終えると、クリスマス休暇になり、流動性が急速に薄くなる。

 一方、下値については、週足の一目均衡表の基準線・転換線が上昇してくるため、大きく下押すことは考えにくい。基準線は106.8円台、転換線は108円台にある。また、200日線も106.40円台なので、下げても108円台で止まりそうだ。

 当面の予想レンジは108円〜116円だが、下値は111円台は意外と底堅いとみている。ドルの下値が堅い理由のひとつに、シカゴIMM通貨先物ポジションで、円がネットで昨年12月以来となるショートに転換したこともある。円のショートポジションが積み上がると、ドル/円はドル高・円安に振れやすくなる。先物市場の状況も大きな転換ポイントを迎えている。

――ユーロ/ドルは1ユーロ=1.05ドルの安値まで売られたが、今後の展開は?

 ユーロ/ドルは15年安値の1.04623ドルを起点とする約2年間のレンジ相場(1.04ドル〜1.17ドル)の下限にある。15年安値を割り込むと、03年1月以来の水準となり、これといった目標値がなくなってしまうため、1ユーロ=1ドルのパリティが意識されやすくなるだろう。

 反面で、日足ベースでは1.05ドル〜1.06ドル台でもみ合っているが、1.07ドル台に乗せると1.15ドルのレンジの上限へのトライとなるだろう。

 ただ、トランプ政権の誕生を控え、米国に利上げ期待が高まっていることに対し、ユーロ圏では、来年のドイツやフランスの大統領選挙に向けた不安感があるなど、ユーロが下押す材料の方が多い。ユーロが戻すとすると、一時期議論があったテーパリング(金融量的緩和からの転換)の接近などが考えられるが、ECBがめざすインフレ率の目標である年2%程度に対し、直近の11月で0.6%であるため、テーパリングは考えにくい。

 当面は、1ユーロ=1.0〜1.1ドル程度の動きを予想する。来年は、一段と下値を切り下げて、0.93ドル〜1.17ドル程度のレンジになるとみている。

――その他、注目の通貨ペアは?

 新興国通貨の中で、下落から反転する動きに転じている南アランド/円に妙味がある。週足は、長期線(52週)を短期線(13週)が下から上に突き抜け、まもなく、中期線(26週)も長期線とクロスしそうだ。ズマ大統領の進退問題などファンダメンタル面が弱いため、値が戻るには時間がかかるだろうが、1ランド=7円台後半に下押す場面は押し目買いを検討しても良いと感じる。上値は、9円台後半が期待できる。

 ランド/円は価格が安いため、8万円の証拠金でレバレッジが1倍でも1万ランドに投資することができる。低いレバレッジで投資していると、ストップロスなどの心配が少ないので、長期に値上がりを待つことができるというメリットもある。

 ランド/円に次いで、メキシコペソ/円も下値を形成する動きになってきている。ただ、メキシコは、トランプ次期米大統領によってNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しなどということになると、大きなショックを受ける可能性があり、慎重に投資時期を判断したい。

 また、トルコリラ/円は、下落が終わったようには見えない。国境問題や人権問題などEU加盟に向けたハードルが高く、トルコ中銀は利上げを行ったものの、下げ止まり感が出てこない。今後、中銀が断固たる姿勢で利上げ路線を歩み続けられるかどうかが試されているように見える。依然として、市場の見方は懐疑的で、反発までは、しばらく時間がかかりそうだ。