photo by Gage Skidmore(CC BY-SA 2.0)

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大方の予想を覆し、世界の王様というべきアメリカ新大統領の座を射止めたドナルド・トランプ氏。極端な政策を掲げる“暴言大統領”の下で、世界経済はどう変わっていくのであろうか。

「トランプ氏が掲げる政策はレーガン政権に似ているといわれますが、最も近いと考えているのは、ナチス・ドイツ初期の経済政策です」

 ショッキングな指摘をするのは、経済アナリストの土居雅紹氏だ。

「インフラ整備と軍備拡張で景気回復や失業率の改善を図ろうとする点と、人種差別ともいえる政策がそっくり。ちなみにかつてのナチス初期の経済政策は大成功し、支持基盤の強化に成功しています。トランプ氏も今後、熱狂的な支持を得ていく可能性は高い」

 大統領選当日、悲観的に市場が反応した「トランプショック」は投票当日の日本市場だけ。翌日からは日米の株式市場もドル円相場も、新大統領を歓迎するかのような急上昇を見せた。

「トランプ氏の当選は決して番狂わせなどではない。イギリスのEU離脱と同じく、グローバリゼーションによる格差拡大に不信感を募らせる労働者階級の支持を集めた結果です。トランプ氏もまずは雇用を拡大し、彼らの不満を解消していくことを最重要課題として取り組むと考えられます」(土居氏)

 こうした理由から、アメリカ経済は強力にテコ入れされ、株価も上昇する可能性が高いという。

◆大統領選の翌年は円安株高の傾向に……

 日本の株式市場の行方はどうだろうか。

「大統領選後に『トランプバブル』と称される急激な円安株高が進みましたが、長くは続かないでしょう。年明け以降の相場も為替次第ではありますが、トランプ氏の一挙手一投足に振り回されて乱高下を繰り返すおそれも。『日本製品の関税引き上げ』や『米軍撤退』といったキーワードが報じられるだけで大荒れする神経質な相場になるので、手を出さないのが賢明です」(同)

 一方、「景気のジンクス」に詳しいエコノミストの宅森昭吉氏は、来年も「円安株高」を予想する。

「過去のデータを見ると、アメリカ大統領の新政権1年目は、クリントンの2期目からオバマの2期目まで過去5回連続で円安に振れている。平均すると円は10.9%下落しています」

 しかも’17年の干支である酉年のデータを見ると、変動相場制に移行した’74年以降、3度訪れた酉年のうち3回は円安で、米ドル/円レートは平均で2.6%下落している。輸出企業の割合が高い日本の株式市場にとって、円安は強力な上昇要因。そのせいか、戦後5回あった酉年のうち’57年以外の4回は日経平均株価が上昇しており、平均すると15%の株高になっているというのだ。

「トランプ氏は過去にアメリカの人気プロレス団体WWEの会長と、互いの『ヅラ疑惑』を晴らすための『億万長者対決』を行っており、プロレス仕込みの派手なパフォーマンスが持ち味。これまでの極端な言動もパフォーマンスの可能性があります。就任後はインフラ投資や減税などの政策を着々と進めていくのではないでしょうか」(宅森氏)

 宅森氏は、こうした政策によってアメリカ経済が強くなればドル高円安が進行し、日本株にもプラスに影響すると予測する。

 日本株については両氏の意見は分かれるが、一致しているのはアメリカの経済や株価が堅調に推移すること、そして中国を中心とした新興国が低迷するという点だ。

「グローバリゼーションの恩恵を最も受けてきたのが中国の中産階級です。巻き戻しの悪影響を受けやすいのはこの層で、日本での『爆買い』に陰りが出る可能性もあります」(同)

「自国通貨を安く抑えて輸出競争力を維持する中国を、アメリカが『為替操作国』と認定して制裁関税をかけるようなことがあれば、中国経済の大幅減速は必至。不毛な報復措置の応酬が繰り返され、ますます経済が疲弊することになるでしょう」(土居氏)