港区や目黒区、中央区ばかりがグルメタウンに非ず。にわかに盛り上がっているのが、錦糸町。え、行ったことない?それはマズいです。

だってそこは渋谷から半蔵門線で30分弱。美食家なら至急来てください!



ノンベジターリーは、ノンベジカレーとベジカレーのほか、酸味と辛味のあるスープ・ラッサムやチキンティッカ、日替わりのスナックなどがセットになった、いわばインドの定食
※時期などによって、メニューの変動あり。
伝説の名料理人の味が再び
『Venus South Indian Dining』

錦糸町


「ヴェヌゴパールさんが帰ってきた!」と、この店のオープン情報が駆け巡った際には、シェフの料理のファンが狂喜したという。東銀座の人気店『ダルマサーガラ』で腕をふるい、信奉者多数のヴェヌゴパールさんは、母国にしばらく帰っていたが、再びこの地で店を構えることにした次第。

メニューを見れば、ヴェヌゴパールさんのレパートリーの多さは一目瞭然。スペシャリテの“塩カレー”ことチキンウプカレーを筆頭にカレーの種類も豊富なら、南インド特有の軽食もずらり。迷うこと必至だ。



ドーサは、ウラド豆の粉入りのクレープ。ココナッツチャツネやサンバルと共に



巨匠の横顔



店内は明るい水色の壁がポイントになっている




スミイカ。料理はおまかせコース¥10,000〜で、つまみと握り計22品が基本
熱意がみなぎるつまみと握りのオンパレード!
『鮨なかがわ』

錦糸町


締める、煮る、寝かせるetc.、鮮魚に手をかけるのが本来の江戸前寿司、とはよく言われることだが、話を聞けば聞くほど、『鮨なかがわ』の主・中川 浩氏の労を惜しまない仕事ぶりは、賞賛に値する。

酒のアテにぴったりな筋子の味噌漬けは、生のままではなく一度干してから漬け込む。味噌の旨みが芯まで行き渡り、筋子そのものの味わいと濃厚に絡み合う。

一方、敢えてしないこともある。たとえばイワシは「脂が抜けてしまうから」と皮は引かずに、強く締めて柔らかくする。いい穴子なら、甘みをつけずに煮る。試行錯誤もしつつ、自分の仕事を確立している。



皮目を強めに締めたイワシは醤油で煮た肝のソースを中に仕込んで



コハダ



青森の郷土料理「いちご煮」を椀物仕立てに。お父さんの家で発掘された中川家の家紋入りの輪島塗で



筋子の味噌漬けに煮あんきも。上戸が嬉し泣きする酒肴がそろう



中川氏の華麗な手仕事を楽しめるカウンター席
※時期などによって、メニューの変動あり。


日本で唯一の○○専門店だってこのエリアにはある!



海老の香り炒め¥1,380は、湖南省の代表的な料理。生の唐辛子と乾燥紫蘇と炒める
多様な辛味が織りなす彼の地の味を
『李湘潭 湘菜館』

錦糸町


マニアックというか、特定の地域に特化したタイプのエスニック料理店が多いことは、錦糸町という街の特徴のひとつだが、ここもまた、そんな一軒。恐らく日本で唯一の、中国・湖南料理の専門店だ。

中国八大料理のひとつで、唐辛子を多用し、最も辛い料理があると言われるため、生も乾燥も複数の種類を使い分けているという。また、米粉で作ったビーフン料理がポピュラーなのも特徴。ここでは契約農家の米を使い、自家製麺した2種類のビーフンを用意している。彼の地の食文化に、味覚も好奇心を刺激される。



冬季限定で登場しているのが、濃厚汁なし担々ビーフン麺(丸麺)。唐辛子と麺、2つの得意技が合体した“鬼に金棒”的一品だ。季節によりメニューは異なる。写真は一例



麻婆豆腐¥880は、平たい冷凍豆腐を使うのが特徴



厨房で存在感を放つ唐辛子



席は円卓も


香りも楽しむ!発酵系メニューに強い店とは?



どぶろくの発酵を進めて造られた酢で締めた、サバのどぶろく酢じめには「ひこ孫 純米吟醸」のぬる燗や人気の「四恩 窓辺 白」を
※時期などによって、メニューの変動あり。写真は一例
“菌”糸町?否、錦糸町の名酒の宝庫!
『醸造科Oryzae』

錦糸町


漫画『もやしもん』でご存じの方も多いだろうが、「Oryzae(オリゼー)」は、酒や味噌、などの発酵に欠かせない麹菌「アスペルギルス・オリゼー」を指す。ここは、日本酒やワインといった醸造物と、発酵物を使った料理を楽しむ“醸し系”酒場だ。

「神亀酒造」の酒との出会いがきっかけで日本酒の世に魅せられた、と語る店主の渡辺竜太郎氏。自身の店では「食中酒としての日本酒の楽しさをもっと広めたい」と、季節の料理それぞれに対して、マッチする日本酒の銘柄と飲み方、またワインも記載したメニューを用意。詳しくない人でも楽しめる工夫がなされている。



豚バラ肉と自家製ザワークラウトの塩角煮には「竹泉 幸の鳥 生酛純米原酒」の熱燗や、微発泡の「レストン・ナチュール」が



食欲と酒欲(!?)が湧く品書き



日曜は昼酒も楽しめる




トマトうどん¥900。小麦だから洋の味付けにもバッチリ
風味凝縮でもっちり食感。飲んで、うどんで〆る喜び
『石臼挽きうどん しゅはり』

錦糸町


うどんだが驚くのは色。つやつやと輝くが少し茶色い。「滋賀から有機農法の小麦を仕入れ、ドイツ製石臼で自家製粉しています」と店主の永井康太氏。麺には“ふすま”もところどころに。つまりは小麦の“挽きぐるみ”。

食べれば心地よい香り、甘みが口に広がっていく。元蕎麦屋の氏が路線変更したのは1年半前。蕎麦はアレルギーの人も多く、ならばと、蕎麦前ならぬ、うどん前も充実する専門店に。錦糸町移転は今年6月。

「一本道を極める蕎麦と違い、うどんは自由」。和も洋もハマる、うどんは万能。だから製粉も自らという蕎麦屋の常識を持ち込んだ、うどん屋は鬼に金棒だ。



あいもり。粉のほか、出汁の素材も徹底吟味。「太さが変わるだけ」のうどんと冷麦も食べると違いは歴然
※メニューは一例



ちょい飲みコース。前菜四種盛、メイン、うどん付。前菜は卵黄のかえし漬、うどん刺身など



日本酒のほか、一升瓶の国産ワインも充実



テーブル主体の店内