医療関係者が続ける。
 「血糖値スパイクが何度も起きると、脳の血管内にアミロイドβが蓄積されます。このアミロイドβは認知症を引き起こすと言われ、実際、アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβの蓄積が進むことによって引き起こされる。血糖値スパイクが起きている人は、普通の人よりも1.5倍、認知症発症の確率が高くなるとされています」

 ちなみに、インスリンが多い状態では記憶力も衰えやすいという。
 加えて、がんの発症も心配だ。
 「インスリンには細胞を増殖させる働きがあるため、血中インスリンの濃度が高いと、がん細胞を増殖させる可能性が高くなります。このように、血糖値スパイクが重大病のすべてに関係してくるのです」(同)

 健康診断を受けていても、やはり血糖値スパイクなのかどうかは分からない。なぜなら、多くの健康診断では、空腹時の血糖値しか測定しないからだ。糖尿病でない限り、空腹時の血糖値は気にすることはないと一蹴される傾向がある。しかし、これが血糖値スパイクの落とし穴なのだ。
 ただ、最近では医療機関で「75グラム経口ブドウ糖負荷試験」も行われている。検査当日の朝まで10時間以上絶食し、空腹のまま採血して血糖値を測る。次にブドウ糖液(ブドウ糖75グラムを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分・1時間・2時間後に採血し、血糖値を測るという検査である。病院によっては行っている場合もあるので、ぜひ一度、受診することをお勧めしたい。

 最後に、この血糖値スパイクをどのようにして防ぐか、再度確認しよう。
 関東医療クリニック院の松本光正院長はこう話す。
 「炭水化物(米飯、パン、うどん、芋、かぼちゃ)は食事の最後の方で食べる。つまり、おかずの副食から食べること。さらに、なるべく甘いものは避けるということだと思います。少しの意識でずいぶんと違ってきます」

 血糖値スパイクは自覚症状がない恐ろしい病気だが、予防や対策はさして難しくはない。問題となるのは、胃に届く量とスピードだ。
 「同量の炭水化物食品を食べるなら、タンパク質食品に置き換えることが必要です。お昼におにぎり二つ食べるなら、おにぎり一つと唐揚げ一個にするなど、工夫すべきです」(医療関係者)

 ちょっとした工夫なのだが、美食に慣れきった現代人には、そのちょっとの努力が難しい。
 しかし、何と言っても放置すれば重い病が待ち構えている。そうならないためにも、日頃から注意を払うように心掛けよう。