影響を受けた映画を語る能町みね子

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 エッセイストとして数多くの連載を抱えるかたわら、ラジオパーソナリティ、相撲解説者、声優など幅広く活躍する能町みね子が、CS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送中のオリジナル番組「この映画が観たい」に出演。2007年に性別適合手術を受け、戸籍上女性となったが、自身の性別を認識するきっかけとして、ジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」(2001)を挙げている。

 劇場公開時を振り返り、「当時は性転換とか、男の子が好きとか意識していなかった」というが、主人公のアメリが男性の運転するバイクに2人乗りするラストシーンを見て「バイクの後ろに乗りたい自分に気づいたんです。普通(男性なら)乗せる方だろと。それで『そうか!』と素で思って」とその後の“決断”を後押しする作品になった。「見る前はそんなつもりなかったんですけど、人生を変えてしまったんでしょうね…」(能町)。

 ゲストのかけがえのない“映画体験”と、それにまつわる人生エピソードを語る同番組。能町は「アメリ」と同時期に日本公開されたテリー・ツワイゴフ監督の「ゴーストワールド」(2001)についても言及し、退屈な日常をおくるティーンの閉塞感に「リア充に対する呪詛(じゅそ)に引き込まれたし、皮肉なままじゃなく、リアリティを感じた」と自身を重ね合わせる。

 加えて、「ヨコハマメリー」(2005)、「映画『立候補』」(2013)、「マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画」(2015)という、一般的には少数者と呼ばれる市民の生き様に迫る邦画ドキュメンタリー3本をチョイス。それぞれに、多様な問題提起をはらむ作品群に対する能町の鋭い視点はもちろん、一種のエンターテインメントとして楽しんでいる姿勢が興味深い。

 「やっぱり人の人生を見るのが好きなんでしょうね。(映画を通して)いろんな場所に行きたいですし。映画はあくまで娯楽でなければいけないと思います。見なくてもいいけど、楽しいから見る。なくていいものこそ、なくてはいけないですから」(能町)

 「この映画が観たい能町みね子のオールタイム・ベスト」は、12月5日午後11時半からムービープラスで初回放送予定。