イギリス首相 テリーザ・メイ(AFLO=写真)

“鉄の女”サッチャーに続く英国史上2人目の女性首相のあだ名は“氷の女王”。馴れ合いを嫌い、超然と仕事をこなすスタイルからそう呼ばれる。国民投票でEU離脱派が勝利した結果を受けて、キャメロン首相が辞任。後任として与党・保守党党首兼首相の座に就いた。本人はEU残留派だが、キャメロン内閣で内務相として移民問題やテロ問題に携わったことで、域内移動の自由を掲げるEUの問題点も熟知している。国民投票の結果を尊重し、EU離脱をよりよい条件で成功させることを国民に約束した。激しいアジで党内分裂を煽った離脱派のジョンソン氏をあえて外相に起用する懐の深さと、「少数の特権階級ではなく万人に利する国のビジョンを」と訴えるフェアな精神で、分裂の危機にあった党内と国家、英連邦を結束させる困難な任務に挑戦する。

公共活動派の司祭家庭に生まれ12歳から政治家を志す。金持ちエリートの通う私立のパブリックスクールではなく、公立のグラマースクールを卒業後、オックスフォード大学セントヒューズカレッジに進学。イングランド銀行勤務を経て、1997年に庶民院議員に初当選し政界入りした。メイ内閣は7割がグラマースクール出身者で“公立学校内閣”とも呼ばれる。不法移民に対しては厳しいが、労働者や貧困層の問題には親身だ。トレードマークである豹柄やラインストーン付きのド派手な靴に滲む余裕と隙が好ましい。冷たいだけではない“庶民派首相”への英国民の期待はかなり高い。

 

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イギリス首相 テリーザ・メイ(Theresa May)
1956年生まれ。オックスフォード大学卒。97年から庶民院(下院)議員。2010年、内務相。16年7月に首相就任。

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(三河五朗=文 AFLO=写真)