北朝鮮の経済特区、羅先(ラソン)。中国やロシアから数多くの外国人が訪れるが、町では障碍(がい)者やコチェビをほとんど見かけない。その理由を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

ビジネスで羅先を頻繁に訪れる中国のビジネスマンによると、中国人には、案内役と監視役を務める北朝鮮当局の「案内員」が同行しないため、比較的自由に行動できる。それにもかかわらず、今まで物乞いをするコチェビや身体障碍者を一度も見たことないという。

また、別のビジネスマンも同様の証言をしている。

「北朝鮮よりずっと豊かな中国や他の先進国でも、障碍者や、物乞いをする人は当たり前のようにいるのに、羅先ではただの1人も見かけない。極めて不自然だ」(中国人ビジネスマン)

当局は、外国人が多く訪れる羅先に障碍者やコチェビがウロウロしていると「国の威信に関わる」という身勝手な発想に基づき、町の外に追放しているのではないか――RFAは、このような疑念を表している。

RFAだけでなく、北朝鮮国内から伝わる様々な証言によれば、北朝鮮当局は、首都・平壌から障碍者やコチェビを排除し、山奥に追放するなど、優生思想に基づく障碍者への差別的政策をいまだに続けている可能性が高い。

そのような政策の背景には、故金日成主席がかつて下したとされる「(障碍者を指して)あのような種が広がるのは良くない。1カ所に集めろ」との指示や、金正日氏による「障碍者が革命の首都平壌にいると、外国人に不快な印象を与えるから、追放せよ」との指示がある。

ある平壌市民は、羅先に行ったことがなく現地のことはわからないとしつつも、平壌のように当局が障碍者やコチェビを徹底的に追放しない限りは、1人もいないということはないと述べた。

アメリカの保守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」によると、北朝鮮当局は当初、障碍者の中でもとく小人症患者を文字通り「根絶やし」にすべく、「全員処刑」まで計画していたが、国際社会の批判を恐れて強制移住政策に変更したという。

一方、北朝鮮は金正恩時代になって以降、国際社会からの圧力を避けるためか、取り繕うように障碍者に対する様々な施策を進めている。

朝鮮中央テレビでは2015年、平壌に住む障碍者の暮らしを紹介する番組を2度に渡って放映しているが、プロパガンダに過ぎず、実際には依然として障碍者に対する差別的な政策が行われている。

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