「AbemaTV(アベマTV) | インターネットテレビ局」より

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「100万ダウンロード突破!」という景気のいい言葉をスマートフォン向けアプリのCMなどでよく聞くが、その中には「ダウンロードはしたけれど、実際はまったく使っていない」というユーザーもいるはずだ。

 流行り廃りの非常に激しいアプリ業界の中で、今どんなアプリが実際に使われているのか。本連載前回記事では、アプリの「視聴率」を調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーの岡田雄伸氏と金井篤史氏に人気アプリの動向について話を聞いた。今回も、引き続き2人にアプリ業界の趨勢や実態について聞いた。

●課金額が多いアプリは「出会い系」

――ユーザーが課金するアプリというのは、やはりゲームが中心なのでしょうか?

岡田雄伸氏(以下、岡田) 「グーグルプレイ」(アンドロイド端末のアプリを購入できるプラットフォーム)の売上額(課金額)ランキングを弊社のApp Apeで見ると、本日(2016年10月時点、以下同)のトップ20は有料スタンプのある「LINE」以外はすべてゲームです。

――最近はマンガアプリも増えていますが、マンガアプリはゲームにくらべて課金が少ないのでしょうか。

岡田 マンガアプリはビジネスモデルが異なります。ユーザーが課金するゲームと違い、ユーザーにマンガを無料で見せて広告で収益を得るケースが多いのです。そのため、個人の課金額が反映される「グーグルプレイ」のランキングでは下位になってしまうのです。本日のランキングでは、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」がやっと100位に出てくるという状況です。ただし、LINEマンガなどは堅調に売り上げを伸ばしており、ランキングには食い込んできます。

 集英社は「ONE PIECE」「NARUTO」といった超人気タイトルも無料配信しており、講談社もマンガの配信アプリサービスを開始しています。これらも広告収益モデルですね。1話見るたびにツイッターでシェアしないと次を読めないという仕組みを設けているマンガアプリもあります。

 あと、ユーザーの課金額が多いジャンルとして「出会い系」があります。よくあるのが、女性は無料で男性は月額3000〜5000円というものですね。出会い系アプリは、ここ数年でネガティブな印象がだいぶ薄れてきました。リクルートも「婚活・恋活・出会い恋愛アプリ」をうたった「ゼクシィ恋結び」をリリースしています。運営会社が大手だと安心感が増しますよね。

●女性ユーザーにも高額課金者はいる?

――「グーグルプレイ」の売上額ランキングで見ると、女性をターゲットにした「刀剣乱舞」「あんさんぶるスターズ!」「アイドリッシュセブン」などのゲームアプリはトップ10圏外と伸びていないですね。

岡田 女性向けの場合、ゲームそのものよりグッズにお金が流れる傾向があるので、このランキングには出てきづらいのです。ただ、「あんさんぶるスターズ!」が200万ダウンロード記念のキャンペーンを行った日は1位になりました。そのため、一概に「女性は男性より課金しない」とはいえないと思います。

――そうなると、性年代で差の出るところはあったりしますか?

岡田 ニュース系は性年代で利用するアプリがきれいに分かれます。「グノシー」「スマートニュース」といった性年代を問わず対象を広く取ったものは根強いのですが、一方で特定の性年代に絞ったものも台頭してきています。

 たとえば、女性向けのニュースアプリに「MERY」「Locari」がありますが、「オトナ女子向けライフスタイル情報アプリ」と銘打たれた「Locari」のほうがターゲットの年齢層は上で、App Apeで見ても「Locari」のほうが利用者の年齢層は高いです。よりターゲットを絞ったニュースアプリがリリースされ、それが実際にターゲット層に刺さっていることがわかります。

●「AbemaTV」の視聴者は40代男性?

――群雄割拠で移り変わりの激しいアプリの世界の中で、16年6〜9月で「きた!」というアプリを選ぶとすると、何になるでしょうか。

岡田 やはり、初速がものすごかった「ポケモンGO」、そしてインターネットテレビアプリ「AbemaTV」ですね。「AbemaTV」は、現在もユーザー数が右肩上がりで増えています。

金井篤史氏(以下、金井) 10月5日時点、「AbemaTV」はサービス開始から半年弱で900万ダウンロードを突破しています。その勢いや実質的な利用状況においては「ニコニコ動画」に迫るというより、もはや超えつつありますね。

岡田 「AbemaTV」には複数のチャンネルがあり、視聴スタイルがテレビと一緒です。一方、「ニコ動」はコンテンツが用意してあり、それをユーザーが好きなときに再生できるというスタイルですね。

――仕組み的には、いつでも見られる「ニコ動」のほうが見やすい気もしますが。

岡田 それこそ、ネットなのにテレビのように「気軽に流し見」できるというのが「AbemaTV」の新しさであり、人気の要因なのかもしれません。今まで、そのような動画コンテンツは少なかったですから。また、『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)など、テレビの人気番組とコラボレーションして番組制作をするなど、コンテンツ展開も積極的です。

――「AbemaTV」の視聴者は、若い人が多いのでしょうか?

金井 40代男性が一番多いですね。10代はあまりいません。「AbemaTV」では100万視聴を超えた番組もあります。

――前回のお話にもありましたが、30〜40代の中年世代がゲームにも動画にもアクティブなんですね。App Apeの結果から、アプリが定着するために必要なことはなんでしょうか?

岡田 アプリの場合、「どこでユーザーが抜けたのか」というのを事業者が把握することができます。その状況を分析しながら、コンテンツをつくったり内容を変えたりしている点は強いですね。動画配信事業を運営するネットフリックスはデータ解析に力を入れていて、どのタイミングで視聴が多くなったり減ったりしているのかというのを把握し、人気の要素を掛け算して自分たちでコンテンツを作成しているんです。ユーザーの動向を把握した上で適切なコンテンツをスピーディに提供するというのは、動画配信、ゲーム、情報系サイトでも共通しますね。

――ありがとうございました。

 フラーのオウンドメディア「App Ape Laboratory」で14〜16年のアプリのMAU(1カ月に利用したユーザー数)推移を追った記事があり、16年には「2ちゃんねる」のブラウザアプリがトップ10圏外になっていたのが印象的だった。

 アプリの移り変わりは、悲哀を感じさせる暇もないほどに目まぐるしい。今後も、四半期に一度のペースでアプリ業界の動向を追っていく。
(構成=石徹白未亜/ライター)