90分までカンプ・ノウは沸き立っていたが、S・ラモスの同点弾で静まり返った。メッシも劇的な展開に肩を落とす。 (C) Getty Images

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 12月3日(現地時間)、リーガ・エスパニョーラ第14節が行なわれ、バルセロナはレアル・マドリーと1-1で引き分けた。
 
 首位マドリーとの勝点差は6であり、優勝争いのためにはこれを縮めておきたいバルサにとって、ホームでの一戦ということもあり、絶対に勝ちたいクラシコだった。
 
 試合は、伝統と歴史のカードらしく、互いに高い集中力と意気込みを持って臨み、1つひとつのプレーで激しい攻防が展開される。
 
 攻撃力をウリにする両チームながら、まずは相手に得点を与えまいという意識を前面に出し、各所でのボール争奪戦は高い熱を帯びたものとなった。
 
 ゆえに両チームとも、相手陣内のペナルティーエリア近くまでは近付けるものの、決定的なチャンスを創出するまでには至らない。特にバルサは18分、メッシが倒されて得たFKが前半唯一の好機であり、しかしメッシ自ら蹴ったボールは力なくGKナバスにキャッチされた。
 
 一方のマドリーは、メッシを封じるとともに、中盤でカウンターの起点となったモドリッチ、抜群のテクニックでチャンスを創るイスコが存在感を発揮し、22分にベンゼマ、37、38分にはC・ロナウドが惜しい場面を迎え、44分にもカウンターでバルサDF陣を慌てさせた。
 
 後半、先に仕掛けたのはホームチームで、47分、メッシ、スアレスがマドリーDF陣を揺さぶってチャンスを作る。対するマドリーはその4分後、C・ロナウドがイスコの縦パスを左に流れながら正確な胸トラップでコントロールしてシュートに持ち込むも、ボールはクロスバーを越えた。
 
 そして53分、ついに試合は動く。右のタッチライン際で得たFK、ネイマールがライナー性のボールを中央に送ると、スアレスが頭で合わせてゴール。勝たなければならないバルサが、欲しかった先制点を手に入れた。
 
 勢い付いたバルサは攻勢に立ち、60分にイニエスタがラキティッチとの交代でピッチに立つと、より攻撃が活性化する。
 
 68分にはブスケッツ、メッシ、イニエスタ、ネイマールとテンポ良くボールが繋がり、ネイマールはカルバハルをかわしてフリーでのシュートチャンスを得たが、力んだのか、ボールはクロスバーを越えてしまった。
 
 絶好の追加点の機会を逃したものの、その後もバルサは攻め続け、71分にネイマールがメッシとの縦のパス交換からシュートを放ち(DFがブロック)、82分にはイニエスタの鮮やかなスルーパスで抜け出したメッシが決定機を掴んだ(シュートは枠外)。
 
 対する、劣勢のマドリーはなかなか良いかたちで前線にボールが渡らず、66分にイスコがカゼミーロとの交代で退くと、さらに攻め手が少なくなる。
 
 徐々に存在感が薄くなっていたC・ロナウドは89分、マルセロのクロスを受け、地面に叩き付けるヘッドでゴールを狙うも、寄せてきたSBジョルディにブロックされ、同点とすることができない。
 
 そして試合時間が90分を回った時、マドリーは左サイドでFKをゲットする。モドリッチが中央に送ったボールに真っ先に反応したのは、87分にも惜しいシュートを放っていたCBのS・ラモスだった。
 
 過去のビッグマッチでもたびたび、マドリーを救ってきたS・ラモスのヘッドが炸裂し、マドリーは土壇場で同点ゴール。その後、アディショナルタイムでのバルサの好機をカゼミーロがゴールライン上で阻むなど、守備陣が最後まで粘って、引き分けで試合を終えた。
 
 マドリーにとって最大のライバルと敵地で勝点を分け合ったことは、まさに御の字の結果である。一方、バルサにとってはあまりに痛かった終了間際の失点……。良い流れのなかで追加点を奪えなかったことで、最後の最後に大きな代償を払わされることとなった。