「地域公共人材開発機構」の定松功氏(左)と、新川達郎氏(右)

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 日本には1000を超える資格が存在するとされているが、その中に「町おこし」専門の資格があることをご存知だろうか。それが京都生まれ京都育ちの地域再生のプロ「地域公共政策士」だ。

 地域公共政策士は’08年に創設され、’09年から本格的な運用が開始されたばかり。龍谷大学、同志社大学、京都産業大学など、京都の10大学が提供している地域政策関連のプログラムを受講することによって、申請が可能となっている。学生や行政職、NPO法人、さらには現職の議員まで受講者が増加している注目の資格だ。

◆専門家が活躍しやすい土壌を作るのが役割

 地域公共政策士とは具体的にどのような仕事なのか。どう地域活性に関わっているのか。同資格制度を創設した一般財団法人「地域公共人材開発機構」(COLPU)代表理事・新川達郎氏、事務局・定松功氏に話を伺った。

「地域公共政策士は特定の分野の専門家というわけではありません。むしろ、産・学・民・官などの異なるセクターをつなげ、各専門家が活躍しやすい土壌を作るのが地域公共政策士の役割と言えますね」(新川氏)

 新川氏は「地域の問題には色々な方が関わってきますが、必ずしも当事者たちが適切な課題設定や解決策の提示をできているとは限らないのです。それを支えていけるような能力やネットワークをコーディネートできる人材を育てていくことこそが、地域公共政策士という資格の目的です」と続ける。

◆産・学・民・官が一致団結して「見える化」

 新川氏の指摘する通り、町おこしに躍起になる地方自治体の多くでは、全く的外れな施策に資金を湯水のごとくつぎ込んだり、そもそも関係者間の意識がズレていたりといった問題が根強い。それも、どこの自治体も似たりよったりというのが現状だ。

 地方の現場で、そうした問題を解消するのが地域公共政策士というわけだ。地域公共政策士の画期的なところは、「町おこしに関する資格」という点だけにとどまらない。

「『地域に貢献できるような能力を身につけた人』を可視化し、能力やスキルを“見える化”するのがこの資格制度です。評価システムやカリキュラムの開発にあたっては、京都の各大学のみならず、研究者や実際に地域課題に取り組む実務家、NPO、NGOをまじえて研究プロジェクトを進めてきました」(定松氏)

 頭でっかちな机上の空論ではなく、地域社会に実際に関わるステークホルダーと連携しながら念入りに作られてきただけあって、取得までのプログラムには実践的な内容が多い。

◆地域公共政策士の具体的な仕事とは?

 現在、地域公共政策士には大学の学部レベルである「初級地域公共政策士」と、大学院レベルである「地域公共政策士」の2種類がある。

 そのうち、地域公共政策士のプログラムにはCOLPUが提供する「特別講義」と、実際に問題を抱えた自治体に入り、具体的な政策提言を行う「キャップストーン・プログラム」が含まれる。

「キャップストーン・プログラムでは、学習者がチームを組んで地域の方々に解決策、あるいは分析の結果を提供します。それを、現場の方々に提示していくプロセスを踏みます。

 たとえば、京都の町屋を利用してアーティストの創作拠点としたり、地元と交流したりするための事業を提案したりしました。これには僕も少し関わっていたんですけれどもね」(新川氏)

 さらに、定松氏はこう続ける。

「他にも天橋立のバリアフリー化のために、観光協会と組んで現地調査に入り、バリアフリーマップを作ったり……。小学校に実際に入ってアンケート調査を実施し、1年くらいかけてコミュニティと学校の関係を再検討をしたこともあります。他にも空いている民家のスペースを地域の子どものための野菜園を設えるプロジェクトを生み出したケースもあります。