「ハリー・ポッター」全作品に携わったデビッド・ハイマン

写真拡大

 メガヒットファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズ全作品に携わり、新シリーズ「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(公開中)も担当した敏腕プロデューサー、デビッド・ハイマンがキャストと共に来日し、映画.comのインタビューに応じた。

 ハリー・ポッターが通うホグワーツ魔法魔術学校の教科書「幻の動物とその生息地」を編纂(へんさん)した魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)を新たな主人公に、若き日のニュートが1926年の米ニューヨークで一大騒動を巻き起こすさまを描く。「ハリー・ポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングが脚本を手がけ、デビッド・イェーツ監督が同シリーズに続きメガホンをとった。

 ハイマンと第5作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」以降全作の製作総指揮を務めたライオネル・ウィグラムは、ローリングが生み出した魔法の世界にすっかり魅了され、シリーズ完結後も“次”に向けて話し合いを重ねていたという。ハイマンによれば、本作の製作が具体的に動き出した裏には、ローリングとの“ファンタスティック”な出来事があったそうだ。「ライオネルは、本(『幻の動物とその生息地』)を基に、ニュートが世界中を回って魔法動物を保護するというウソのドキュメンタリーを作りたいと言っていたんだ。それをジョー(ローリング)に話したら『なんて不思議なの! 私もちょうどこんな話を考えていたのよ』と本作の構想を明かしてくれたんだよ。そっちの方がずっとずっと面白くてね」。

 かくして本作は“原作者自らが脚本を書く”新たな試みにより、これまでとは違った色合いを帯びることとなった。深みを増したドラマ、当時を完全再現した町並みなど見どころは多いが、最大の特徴はタイトルにもなっている多種多様な魔法動物=ファンタスティック・ビーストたちだろう。劇中でも、キラキラ輝くものが大好きなニフラーや木の妖精ボウトラックル、伸縮自在のオカミーといった動物たちが所狭しと躍動している。脚本では「ほとんど描写のないものや、逆にかなり密に書き込まれたものもあった」というが、どのように具現化していったのか。「何人かいるコンセプト・アーティストが脚本を読み、自分がどういったものを想像したかを実際に作ってくれたんだ。デビッド・イェーツ監督は、とにかくちゃんと動くもの、現実世界でもちゃんと生きられるようなものを求めていた。中には、(完成までに)すごく時間のかかる動物もいたよ。1番は(ニュートの相棒ともいえるボウトラックルの)ピケットだね。(クリーチャーが登場する作品には)『ホビット』や『ロード・オブ・ザ・リング』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などがあるが、とにかく目立ち、かつ違うものにしたいという思いがあったからなんだ」。

 苦心の末に生み出した魔法動物たちを「ジョーはものすごく満足してくれた」と笑顔を浮かべるハイマンだが、保護された動物たちが暮らすニュートの“魔法のトランク”の内部については、ローリングからあるリクエストがあったという。「最初はものすごく凝ったものを作ったんだ。でも、ジョーは『ニュートが自分で作ったように見えるものにしてほしい』と言った。つまり“手作り感”だね。ニュートは、(魔法界の実力者である)ダンブルドアでもヴォルデモートでもグリンデルバルドでもない。彼らのようにすごい力を持っているわけじゃないから、もう少しラフなものにしたんだよ」。ハイマン自身は「『おりの中にいるものじゃない』と言ったね。ニュートのように、魔法動物が大好きで保護しようと思っている人が、動物たちをおりに入れるわけがないんだ。魔法でできた柵はあるかもしれないが、閉じ込めることはない」とニュートの人物像に合わせたものを作ろうと心血を注いだ。

 そのニュートに命を吹き込んだのが、今をときめくオスカー俳優エディ・レッドメインだ。ハイマン自身「主演俳優候補のリストには、エディ(・レッドメイン)1人しか名前が載ってなかったんだ(笑)」とぞっこんで「彼はどの時代においてもしっくりくる。俳優の中には時代物にはそぐわないタイプもいるが、エディにはそれがまったくないんだ。彼は人間性にあふれてもいる。ぎこちなさのあるニュートを演じるには、エディのように温かい心を持っている人物でないといけなかったのさ」と目を細めた。