離婚後のわが子に「虐待されている疑い」があったら

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■どこまでが躾でどこから虐待なのか

当連載で以前、離婚時の子の連れ去り問題について取り上げた。一方で、子を連れ去った親に別居後、児童虐待が疑われるケースがある。夫婦不和の原因が育児ストレスである場合、別居後はそのストレスのはけ口が子供に向かうことがあるからだ。別居中の子に会ったら、体に不自然な痣が……。わが子がもう一人の親から虐待されている疑いがあれば、どう対応すべきか。

まず気になるのは、虐待か、躾か。もう一人の親に文句を言っても、「ただの躾」とシラを切られるおそれがある。

法律上はどうか。児童虐待防止法では、虐待を「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」という四類型で定義している。たとえば身体的虐待なら、「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること」を虐待という。

この定義に照らすと、痣が残るような体罰は虐待に当たると考えるのが自然だ。子供の人権に詳しい磯谷文明弁護士は、次のように解説する。「外傷のおそれがそれほどない体罰でも、子供がおびえていれば、心理的虐待と合わせ技で虐待に該当すると判断されるケースもあります。実際にはここまでは躾、ここからは虐待と明確に線引きすることは難しい面があるのは事実です」

■相談件数急増で多忙な児童相談所

ただ、素人考えで躾と判断して放置するのはリスクが高い。わが子の安全を最優先すれば、疑わしい段階でも何らかの対応をすべきだろう。

具体的にどう動けばいいのか。真っ先に思いつくのは、児童相談所への通報だ。虐待が認められれば一時保護等の措置を取ってくれる。しかし、必ずしも児童相談所が即座に動いてくれるとは限らない。

「いまは相談件数が増えて、対応する児童福祉司の数が圧倒的に足りない状況です」

児童相談所への児童虐待相談件数は昨年度、10万件を突破し過去最高となった。多忙な児童相談所に迅速に動いてもらいたければ、虐待の証拠を示すなどの準備が必要だ。

たとえば子供は回復が早く、多少の傷ならすぐ癒える可能性がある。外傷に気づいたら、その場で撮影して写真に残したほうがいい。また、子供の話す内容をスマホで録音するのも効果的。専門家が聞き取り調査をする「司法面接」で証拠を残す方法もある。

また、自治体が独自に設けている「子供家庭支援センター」「家庭児童相談室」などの窓口に相談するのもいい。これらの窓口に継続的に相談した記録が証拠となって、虐待と認定されることもある。

一方で注意したいのは、加害親への対応だ。

「加害親に虐待を指摘すると、相手は態度を硬化させるおそれがあります。その結果、子供との面会交流を打ち切られて、虐待がさらに悪化することも考えられる。子供との接触が途切れないように、適切なタイミングで対処してください」

(文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 磯谷文明 図版作成=大橋昭一)