過去の歴史は中国の人々の心に依然として暗い影を落としている。日本語を学ぶ学生への風当たりも強いが、それでも常州大学の陳さんのように日中関係の好転を信じている若者もいる。写真は折り鶴。

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最近では、日中関係に回復の兆しが見られているとの報道もあるが、過去の歴史は中国の人々の心に依然として暗い影を落としている。日本語を学ぶ学生への風当たりも強いが、それでも常州大学の陳静[王路](チェン・ジンルー)さんのように日中関係の好転を信じている若者もいる。以下は、陳さんの作文。

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あれは私が小学校の時でした。「なによ。こんなバカな話があってたまるものですか!」。いつも優しい担任の先生が、顔を真っ赤にして怒鳴ったのです。初めて怒った先生の顔を眺めて、小学生だった私はショックを受けました。「みんな、知っているの?折り鶴は日本から伝わったものよ。大虐殺を悼むのに、なんでわざわざ日本の折り鶴で悼むのよ!」と先生は言いました。

私たちの故郷・南京で起きた大虐殺の慰霊祭に、地元の小中学校では手作りの折り鶴を作り、犠牲になった人々に供えることになっていたのです。私たちの学校でも、折り鶴をたくさん作りました。用意された紙は数えきれないほどたくさんで、私たちは時間を見つけては折り続けました。たくさんの先生たちも手伝ってくれました。私たちの担任の先生も手伝おうとしてくれたその時の出来事でした。

あの時、私は折り鶴が日本から伝わったものだと初めて知りました。担任の先生は理性のない反日派では決してありません。しかし、彼女ですらこのような考え方をしたのです。一枚一枚きれいな紙で丁寧に作った折り鶴に、人々は世界平和への純粋な願望を込めます。でも、折り鶴の起源が日本という理由だけで、この一羽の折鶴は戦争の罪の象徴と考える人もいるのです。多くの中国人は「第2次世界大戦で、中国国民は日本人によって多大な犠牲を払った」と強く意識しています。

大学に進学するときもこのことを思い出しました。日本語科を選ぶのに、ためらいの気持ちがあったのも事実です。しかし、私が生まれて育ってくる間に、私の身近にあった国は、なんと日本なのです。知らず知らずのうちに一番詳しい外国は、日本だと気づいたのです。教科書や新聞に載っている日本、J−POPやドラマから知る日本、どれが真実の日本なのかと複雑な気持ちでした。日本のアニメの底にある人類愛や平和への思いもわかりました。だからこそ、私は真実を見つめ、日本を知りたいと思ったのです。

私は、お互いの相手の悪い点ばかりを取り上げているばかりの今の状態では友好関係は築くことができない、そう思います。日本に留学している中国人は現在約8万人で日本の全留学生の6割を占めます。また、日本への観光旅行者数は年々増えています。日本に対して好意を持っている中国人がいることを日本人に知ってほしいと強く思います。また、私たちも真の日本、日本人を知る必要があるのです。

今学期、私は日本の大学生や常州に住む日本人女性たちと心のこもった温かい交流を体験しました。交流した人々からは、純粋な思いやりの気持ちを感じました。私たち若者は、直接的な交流をもっと経験し、お互いの真の姿を見つめるべきです。私は南京で生まれ育ちましたが、両国の友好を実現できるのは、未来を握っている若者、すなわち私たちなのです。

折り鶴は、作り手から注がれる願いや思いが生命力を与え、翼を開かせ優美な姿を表すのです。小さな羽を精いっぱい広げ、世界の平和の象徴として羽ばたく折鶴のように、私はなりたいと思います。今、私は担任の先生に胸をはってこのことを話したいです。きっと先生は理解してくれると信じています。(編集/北田)

※本文は、第十一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」(段躍中編、日本僑報社、2015年)より、陳静[王路]さん(常州大学)の作品「私は折り鶴になりたい――平和な世界のために」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。