暫定公開されている開発中のキャラクターのシルエット。(画像:NTTドコモ社発表資料より)

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 NTTドコモ(以下、ドコモ)は、中国の移動通信事業者チャイナモバイルのグループ企業でアニメ関連ビジネスを展開するミグ動漫有限公司と11月30日に共同制作・運営契約を締結し、今後「バーチャルアイドル」のビジネスを日中で共に展開していく。音楽、ダンス、ライブ番組への出演などを通じてファンと交流、「新たな感動と体験の提供」を行い、キャラクタービジネスを展開していくという。しかし、その成功への道のりは極めて険しいものとなるだろうと、筆者はみている。

 バーチャルアイドルとは、実体を持たない、映像やネット上などにのみ活動拠点を置く仮想のアイドルのことである。ドコモがどのようなバーチャルアイドルを売り出すのかについては、まだシルエットしか公表されていない(画像参照)が、年内には公式ホームページを立ち上げるとのこと。

 ドコモの発表によれば、中国におけるアニメ関連産業の市場規模は1.81兆円、日本は1.82兆円(いずれも2015年)、さらに市場の成長が見込めるというが、嘆息すべき話である。新しいキャラクターを制作するのはよいが、そのキャラクターには何の地盤も知名度もなく、当然、当初には交流すべきファンだとて存在しない。これではこれからデビューする、ようは無名の新人が、「アイドル産業の規模は1,186億円(2014年日本、矢野経済研究所)で、音楽ソフト売り上げは2,866億円(2015年日本、オリコン)です」と言っているようなものだ。その数字は正しいかもしれないが、それは他人の商売の話に過ぎないのである。

 現実のアイドルもそうだろうが、アニメの世界やバーチャルアイドルの世界で人気キャラクターを作るというのは決して甘い話ではない。そもそも「バーチャルアイドル」という概念は決して目新しいものではなく、古くはコナミの恋愛ゲーム『ときめきメモリアル』(1994年第1作発売)のヒロイン藤崎詩織が1996年から98年頃にかけて「アイドル」としてキャラクター展開したという例がある。しかし、登場作品の大ヒットを背景としてさえ、藤崎詩織が爛▲ぅ疋襪箸靴董廟功したなどという話は今に伝わっていないのだ。

 まして、ゼロから創ったキャラクターを人気バーチャルアイドルにするというのは、路傍の少年をSMAPの後釜にせんとするがごとき挑戦である。静かに見守ることとしたい。