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By Tsahi Levent-Levi

「初めて会った人の名前」などは短期記憶として脳に保存されますが、覚えておこうと努力しなければ自動的に忘れてしまいます。忘れてしまった記憶を思い出すのは難しいものですが、脳に電気刺激を与えて忘れてしまった短期記憶を取り戻すことに成功した研究結果が発表されました。

Reactivation of latent working memories with transcranial magnetic stimulation | Science

http://science.sciencemag.org/content/354/6316/1136

Stimulating the brain can bring back forgotten short-term memories - The Verge

http://www.theverge.com/2016/12/1/13805648/brain-transcranial-magnetic-stimulation-short-term-memory-neuroscience

初めて会った人の顔や名前などを覚えたとき、脳内では特定のニューロンが継続的に発火しています。ウィスコンシン大学マディソン校、ノートルダム大学、リエージュ大学からなる合同研究チームは、経頭蓋磁気刺激法(TMS)という脳内のニューロンを発火させる方法を使って、忘れてしまった短期記憶を再生するという研究結果をサイエンス誌に発表しました。



By UK in Israel

研究チームはテストの参加者に人間の顔が写った写真を渡して記憶してもらい、参加者の脳活動を分析しました。これにより写真の顔を思い出したときのニューロン発火パターンを正確に特定することができるとのこと。続いて参加者に最初の顔写真とは関係のない別のイメージを覚えるよう指示することで、脳内では顔写真に関するニューロン発火がストップします。この状態は顔写真のことを「忘れた」と考えられます。その後、TMSで顔写真に関わるニューロンを刺激したところ、静止していたニューロンが顔写真を思い出した時と同じニューロン発火パターンを再現し、短期記憶を再現することに成功したわけです。

また、別のテストでは参加者にさまざまなイメージを示して、その中から「顔」と「文字」などの2つのイメージを覚えているかどうかを確かめられました。TMSでテストに出てこなかったイメージのニューロンを点火したところ、参加者は自分で覚えたイメージなのかTMSで活性化された記憶なのか理解することが難しくなり、テストで間違いが増えたとのこと。人為的な「記憶の操作」が実際に可能であることを示した研究が登場したことにより、記憶能力の向上や、PTSD患者のトラウマを操作するなどの新しい治療法が登場する可能性も考えられます。