増谷栄一の経済コラム:中国石油大手CNOOCの米ユノカル買収、米中の新たな火種に
2005年06月26日23時47分 / 提供:ライブドア・ニュース
【ライブドア・ニュース 2005年06月26日】− 最近、米国では、中国との経済関係で、さまざまな問題が一気に表面化し、ブッシュ政権の対中国政策の舵取りがますます難しくなってきているが、今度は、それに加えて、中国3位の石油・ガス企業、CNOOC(中国海洋石油)による米9位の石油・ガス会社、ユノカルの敵対的買収が米中両国間の新たな火種として登場してきた。
ユノカル買収は、同じ米国の石油メジャーのシェブロンが4月4日に164億ドル(約1.8兆円)で買収することで、会社の経営トップ同士では合意しているが、そこに、拡大一途の中国の石油需要に対応するため、世界中で石油・ガス資源の確保に走り回っている中国のエネルギー業界の一翼を担う中国国営の石油会社CNOOCがユノカル買収に名乗りを挙げたのだ。CNOOCにとって、ユノカルは世界14ヵ国で天然ガスを生産しており、アジア最大のLNG(液化天然ガス)生産企業である点が最大の魅力なのだ。しかし、CNOOCに対する米国内の風当たりは強いことから、CNOOCはユノカルの石油・ガス生産量は、米国の2004年の石油・ガス消費量全体のわずか1%に過ぎず、買収しても米国のエネルギー市場には影響を与えないと主張、批判をかわそうと懸命だ。
CNOOCの買収提示額めぐり評価割れる
CNOOCは23日に正式にユノカル買収額を発表したが、それはシェブロンを大幅に上回る185億ドル(約2兆円)だった。この金額をめぐっては、米国のアナリストの間でも、CNOOCがシェブロンとの買収合戦に勝つには十分という見方と不十分という見方に分かれている。CNOOCの提示額が十分と見るアナリストは、シェブロンは対抗上、買収額をさらに引き上げるか、あるいは、ユノカルの株主に支払うことになっている買収金額の現金部分の比率(25%)をかなり引き上げるのではないかと予想している。
一方、CNOOCの185億ドルでも、まだ不十分と見る向きは、スノー米財務長官が23日にCNOOCのユノカル買収は、国家安全保障の観点から審査されるとの見通しを明らかにしたことやCNOOCのユノカル買収を正式に表明した翌日には、米議会で反対ののろしが相次いで上げられたことを理由にしている。実際、下院資源委員会のリチャード・ポンボ委員長と下院軍事委員会のダンカン・ハンター委員長の2人は、ブッシュ大統領に書簡を送り、その中で、CNOOCによるユノカル買収によって、米国の雇用と石油・ガスの生産、エネルギー安全保障に多くの懸念が生じると指摘したのだ。
こうした、政府や議会の反対色が鮮明化する中で、もし、それでもユノカルの取締役会や8月初めに開催される予定の株主総会で、シェブロンとの合意を破棄し、CNOOCの買収提案を受け入れた場合、米政府はCFIUS(対米外国投資委員会)による合併審査を行う見通しだが、その審査期間は通常1ヵ月かかるため、審査を受けないので短期間で買収手続きを完了できるシェブロンの方が有利と見られているほか、仮に1ヵ月待ってもCFIUSがCNOOCを承認しない可能性もあり、そうしたリスクを考慮すると、185億ドルでは十分とはいえないというわけだ。
また、現在は、原油が急騰し続けており、CNOOCにとって、タイミングが悪いのも事実だ。ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている米国の標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の8月物は、23日に一時、1バレル=60ドルを突破して、ザラ場での過去最高値を記録し、24日も60ドルを超える場面が見られるほどの高騰ぶりだ。原油の高騰による米経済の減速懸念が高まっている上に、米国のエネルギー産業の一角が、中国に支配されることへの不安、そして、米国のエネルギー企業は、こうしたなりふりかまわずに世界の石油・ガス資源をかき集めている中国国営企業との競争に打ち勝つことが今後、一層厳しくなるという懸念もある。
ライブドア・ニュース 増谷栄一記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/)
ユノカル買収は、同じ米国の石油メジャーのシェブロンが4月4日に164億ドル(約1.8兆円)で買収することで、会社の経営トップ同士では合意しているが、そこに、拡大一途の中国の石油需要に対応するため、世界中で石油・ガス資源の確保に走り回っている中国のエネルギー業界の一翼を担う中国国営の石油会社CNOOCがユノカル買収に名乗りを挙げたのだ。CNOOCにとって、ユノカルは世界14ヵ国で天然ガスを生産しており、アジア最大のLNG(液化天然ガス)生産企業である点が最大の魅力なのだ。しかし、CNOOCに対する米国内の風当たりは強いことから、CNOOCはユノカルの石油・ガス生産量は、米国の2004年の石油・ガス消費量全体のわずか1%に過ぎず、買収しても米国のエネルギー市場には影響を与えないと主張、批判をかわそうと懸命だ。
CNOOCの買収提示額めぐり評価割れる
CNOOCは23日に正式にユノカル買収額を発表したが、それはシェブロンを大幅に上回る185億ドル(約2兆円)だった。この金額をめぐっては、米国のアナリストの間でも、CNOOCがシェブロンとの買収合戦に勝つには十分という見方と不十分という見方に分かれている。CNOOCの提示額が十分と見るアナリストは、シェブロンは対抗上、買収額をさらに引き上げるか、あるいは、ユノカルの株主に支払うことになっている買収金額の現金部分の比率(25%)をかなり引き上げるのではないかと予想している。
一方、CNOOCの185億ドルでも、まだ不十分と見る向きは、スノー米財務長官が23日にCNOOCのユノカル買収は、国家安全保障の観点から審査されるとの見通しを明らかにしたことやCNOOCのユノカル買収を正式に表明した翌日には、米議会で反対ののろしが相次いで上げられたことを理由にしている。実際、下院資源委員会のリチャード・ポンボ委員長と下院軍事委員会のダンカン・ハンター委員長の2人は、ブッシュ大統領に書簡を送り、その中で、CNOOCによるユノカル買収によって、米国の雇用と石油・ガスの生産、エネルギー安全保障に多くの懸念が生じると指摘したのだ。
こうした、政府や議会の反対色が鮮明化する中で、もし、それでもユノカルの取締役会や8月初めに開催される予定の株主総会で、シェブロンとの合意を破棄し、CNOOCの買収提案を受け入れた場合、米政府はCFIUS(対米外国投資委員会)による合併審査を行う見通しだが、その審査期間は通常1ヵ月かかるため、審査を受けないので短期間で買収手続きを完了できるシェブロンの方が有利と見られているほか、仮に1ヵ月待ってもCFIUSがCNOOCを承認しない可能性もあり、そうしたリスクを考慮すると、185億ドルでは十分とはいえないというわけだ。
また、現在は、原油が急騰し続けており、CNOOCにとって、タイミングが悪いのも事実だ。ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている米国の標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の8月物は、23日に一時、1バレル=60ドルを突破して、ザラ場での過去最高値を記録し、24日も60ドルを超える場面が見られるほどの高騰ぶりだ。原油の高騰による米経済の減速懸念が高まっている上に、米国のエネルギー産業の一角が、中国に支配されることへの不安、そして、米国のエネルギー企業は、こうしたなりふりかまわずに世界の石油・ガス資源をかき集めている中国国営企業との競争に打ち勝つことが今後、一層厳しくなるという懸念もある。
ライブドア・ニュース 増谷栄一記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/)
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