■東京五輪のホープ、石川祐希インタビュー前編

 昨年のワールドカップでNEXT4の一番手としてブレイクした石川祐希選手。最大の目標であったリオ五輪出場はならなかったが、すでに東京五輪に向け、再始動している。リオ五輪を現地視察し、今冬も一昨年に続き、イタリアプロリーグに挑戦することを発表した。

 現在は秩父宮賜杯全日本バレーボール大学選手権(インカレ)に出場中で、所属する中央大学の3連覇に向けて奮闘中だ。その大会前に、敗退したリオ五輪世界最終予選や現地で見たリオ五輪のこと、そして、イタリア挑戦を含めた将来の展望について聞いた。

―― まずは秋季リーグ優勝おめでとうございます。

石川祐希(以下、石川):ありがとうございます。

―― 中央大学は石川選手が不在だった東海大学戦で、唯一ストレート負けを喫しました。

石川:勝ってほしかったですけど、アジアカップに参加したために、(主力で)オポジットの大竹壱青(※)もなかなか練習に参加できていなかったですし、そのあたりはしょうがない部分があります。自分が今季唯一対戦してないのは(強豪校では)東海大だけ。(ビデオなどで)見たイメージとやるイメージはやっぱり違うので、インカレの時にしっかり対応できるようにしたいと思います。
※バルセロナ五輪代表・大竹秀之氏の長男。姉はデンソーの大竹里歩。2015年全日本に初選出された

―― 10月に行った韓国遠征についてお聞きします。単独の大学チームで海外遠征というのはめずらしいですよね。

石川:大学のチームとして海外に行くのは初めてでした。全日本とは違った形で行けたのは新鮮でしたね。韓国の大学リーグで3位、4位くらいのチームとやらせていただいたんですけど、9月がシーズン終わりで、ドラフトにかかった選手はもうプロリーグに出ているみたいで、メンバーが揃っていなかった。それでもセットを落とさずに勝つことができたのは大きな収穫だと思いますし、日本と違って、どんなところからでも思いっきり打ってくるというバレーでしたが、それに対応できていたので、その辺はよかったなと思います。

―― 秋季リーグは、石川選手のファンの多さに対応できずに、いくつかの試合が無観客試合になり、話題になりましたね。

石川:あれは、ただ単に体育館が狭かったんです。秋季リーグの日程で、大きな体育館を取れなかったというだけなので、しょうがなかったと思います。僕自身は、無観客試合でも、選手の家族とか報道の人は来ていたので、普通に気になりませんでした。

―― インカレでは、もちろん狙うは3連覇になりますか?

石川:秋季リーグも優勝できましたし、その後の韓国遠征もチームはよくできていた。韓国相手なので、日本の大学生となるとまた変わると思うんですけど、チームの雰囲気も悪くないですし、インカレに向けて気持ちも高まっているので、しっかり準備してしっかり挑みたいと思います。

―― 石川選手自身の調子はどうですか?

石川:自分自身もそんなに悪くないです。ワールドカップで連戦したあとの去年よりは、いい形でこられていると思うので、大丈夫だと思います。

―― 春に傷めていた膝は大丈夫ですか?

石川:去年よりは断然いいです。評価とか恐れずに、体の方もしっかり作っていきたいと思います。

―― 全日本の活動でチームを留守にすることも多いですが、そのあたりはもう慣れてきましたか?

石川:今年度前半はシニアの活動でチームにはいなかった。後半は秋リーグ、アジアカップとか結構試合のスケジュールがハードで、チーム練習がなかなかできなかった、ずっとは大学にいられない中で、自分がポンと入って結果が出ているので、その辺の対応力はついてきたんじゃないかと思います。

―― 全日本の話を伺いましょう。2勝5敗で出場権獲得ができなかった、リオ五輪世界最終予選について振り返ってください。

石川:最終メンバーが揃って、合宿した期間も短かったですし、(オリンピックが懸かった大会は)初めての経験でもありましたし......終わったことなのでどうこういうつもりはないですけど、改めて準備が大事だなと感じました。

―― 独特の雰囲気に飲まれた部分もありましたか?

石川:そうですね。いつもと違った大会だというように、逆に捉えすぎたかなと思います。「大事な試合」とか「勝たなきゃいけない試合」というのはありますけど、自分のやるべきことは変えずにやった方がいいなということは学びました。

―― 世界最終予選では、ケガが治りきらない中での戦いとなりました。

石川:膝に関しては、合宿期間中に別メニューを組んでいただいて治療に専念できたので、大丈夫でしたけど、大会中に捻挫をしてしまって、それがちょっと痛かった。プレーにも影響が出てしまいました。

―― リオ五輪は、現地で観戦されたそうですね。

石川:8月12日に出発して、予選の最後の試合から決勝まで見てました。行くまでは、ニュースで五輪会場で事件があったなどと聞いていたので、治安が心配だったのですが、大丈夫でした。

 五輪の会場で観戦して、改めてすごい舞台だなと思いました。何もかも、これまで自分が体験してきた大会とは規模が違ったなぁと感じました。

―― ブラジルの観客はどうでした?

石川:盛り上がりがすごい。日本と全然違った雰囲気だと思いました。

―― 石川選手はイタリアでの試合も経験していますが、日本の応援とどちらが好きですか?

石川:自分は海外の応援の方がやりやすいですね。

―― リオ五輪で印象に残っている試合は?

石川:イタリア対アメリカの準決勝と、決勝のブラジル対イタリアですね。母国開催でブラジル優勝だったので、それはもう凄かったです。

―― 戦術や技術の面で印象に残ったことはありますか?

石川:そんな詳しくは見てなかったです。自分は個人のスキルを上げていきたいと思っているので、自分と同じポジションのサイドアタッカーの選手を見ていました。「誰を」と絞って見ていたわけではないですけど。

 どの国のサイドの選手も、体格が自分より大きい。でも、その選手が(サイドアタッカーとしても)オフェンスタイプなのか、ディフェンスタイプなのかとか、ミスが多いけど流れをつかむのが上手な選手なのか、というあたりがわかってくる。

 例えばポーランドの(ミハウ・)クビアク(現パナソニックパンサーズ)とかは、そんなに上背があるわけでもないですが、ミスせずにうまく一球一球を処理して、勝負どころで点を取っていた。攻撃力だけというわけではなく、守備もすごくうまかった。そういうバランスも見ながら考えていました。

―― 大学1年の頃に「海外の選手で注目しているのは?」と聞いたら、「海外にはあまり興味がなくて......」と言っていましたね。最近は変わりましたか?

石川:それはまあ、自分自身が海外に行っているので、いろいろ映像を見たりするようにはなりました。特に誰に憧れて、といったものはないんですけどね。

―― リオ五輪に出るためには何が足りなかったのでしょう。

石川:海外チームとの対戦試合数が、(前年の)ワールドカップ前よりは少なかったので、それがひとつかな。準備が足りなかったかなと思います。

―― 改めて、東京五輪への思いを聞かせてください。

石川:(日本は開催国枠で)出られることは決まっていますけど、出るだけでは終わらないように。やるからには、メダルを目指してやっていきたいと思います。

―― そのためには石川選手自身は何をするべきと思っていますか?

石川:「何を」というのは、全日本のチームを作ってから変わってくると思う。ディフェンス、オフェンス、どっちもできるように、自分の持っているスキルを2倍3倍に上げていくのが、今やるべきことだと思っています。

(後編に続く)

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari