退任表明のスタバCEO、今後は「米国のためにも活動」 政界進出は否定

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スターバックスは12月1日、ハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)が2017年4月3日付けで退任することを発表した。その後は常勤会長として同社にとどまり、新たな戦略的イニシアチブを取る役割と、高級コーヒー豆を扱うラインの「スターバックス・リザーブ・ロースタリー」の事業拡大に専念する。

後任には、ケビン・ジョンソン社長兼最高執行責任者(COO)が就く。シュルツは発表文で、「小売業界における革新の中でスターバックスが起こす次の波に目を向けている。私のパートナーであるCOOのケビン・ジョンソンが後任となってくれることを、嬉しく思っている」と述べた。

スターバックス成長の立役者

自ら財をなした富豪の一人である63歳のシュルツは、二度にわたってスターバックスのCEOを務めた。業務運営とマーケティングの責任者として同社に入社したのは1982年。だが、1983年に旅行先のイタリアで同国のコーヒーに心を奪われ、それをきっかけに退職。コーヒーショップ「イル・ジョルナーレ (Il Giornale)」を自ら立ち上げた。

その後、1987年にスターバックスを買収。CEOに就任すると、1992年には上場を実現させた。そして2000年4月、同社のグローバル戦略に専念するとして退任した。

2008年1月にCEO職に復帰したシュルツは、同社を評価額およそ850億ドル(約9兆6,700億円)の大企業にまで育て上げた。最初に入社した当時にはわずか4店だった同社の店舗数は、現在は2万5,000店ほどにまで増えている。また、コーヒーにとどまらず、紅茶ブランド「ティバーナ(Teavana)」も展開。温かい食事の提供も始めた。スターバックスは、モバイル端末を通じて注文を受け付けるサービスを他に先駆けて開始した企業の一つでもある。

シュルツは企業が利益に見合った慈善活動を行うべきであるとの考えについても、率直に語ってきた。社内では何年も前から、従業員を対象としたいくつもの社会的支援を行っている。

軍基地の中に店舗を構え、退役軍人や現役の兵士の配偶者らを雇用しているほか、2014年にはバリスタやその他の従業員たちの就学支援プログラムを開始した。アリゾナ州立大学の通信教育課程で学び、修了すれば学位を取得できるというものだ。学費はスターバックスが負担する。今年7月には、医療保険の適用範囲を拡大し、パートタイムの従業員を含め、条件に該当する人たちを新たに加入させる方針も明らかにした。

CEOからの退任で、政治家への転向の可能性に関する憶測はほぼ確実に高まるだろう。だが、シュルツは「会社を離れるわけではない」と明言。うわさを否定している。

政治家にはならない

「私たちはただ単に、株価を上げるために存在しているわけではない」──シュルツは今年3月、フォーブスの特集記事に向けた取材の中で、こう述べた。

「社会的利益のためにわれわれの強みを生かすとすれば、私たちには何ができるだろうか?」

本人と周囲の人たちがどれほど「そんな気はない」と強く否定しても、いずれシュルツが公職に立候補するのではないかとの憶測が消えないのは、こうした発言のためだ。

先の米大統領選の2日後、シュルツはインタビューの中でこうした自身の考えを改めて強調した。

「私の根底に基盤としてあるのは、”アメリカの約束”とこの国の大志だ。私はこの国の将来を案じている。今ある一市民の立場で、その大義を推進するためにできることがあるとすれば、それこそ私がこれから挑戦することだ」