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12月1日に開催されたPTCジャパンの年次イベント「PTC Forum Japan 2016 〜IoT時代のモノの新しい見方がわかる!〜」。同イベントは来場申し込みが約2400名を記録するなど大盛況に終わり、PTCの取り組みおよびIoTへの関心の高さが改めて感じられた。

基調講演では、日立製作所(日立) 執行役専務でサービスプラットフォームビジネスユニット CEOの小島啓ニ氏が日立のIoTに向けた取り組みについていくつかの事例を紹介した。

○社会インフラの仮説構築を効率化

日立は1960年頃からデータストレージやシステムインテグレーションなどIT領域に進出しており、データを扱うことに関しては50年という歴史に裏付けられたテクノロジーとノウハウを持つ。同社は現在、IoTプラットフォーム「Lumada」をベースにAIとアナリティクスによってデータを活用し、各種アプリケーションに向けてソリューションとして展開している。同社のIoTソリューションはビジネスデータやマシンデータに加えヒューマンデータまで活用することが特徴となっている。

まず小島氏が取り上げたのが鉄道向けの事例だ。日立はイギリスやイタリアで鉄道事業を展開している。従来は車両や信号などハードを売るビジネスモデルだったが、近年は車両の保守や運行管理、乗車券の販売などトータルで提供を受けたいというニーズがある。このビジネスモデルでは、IoTを駆使してローコストで高稼働率を実現できれば利益につながるが、稼働率が低下した場合ペナルティが発生する「実際的かつシリアスな状況になっている」(小島氏)という。

また、鉄道事業で日立が実施している取り組みにCyber POC(Proof of Concept)がある。これは地下鉄を敷設したらどれくらい交通渋滞が緩和できるかなどをコンピューター上でシミュレーションする仕組み。地図上にバーチャルで地下鉄を敷設すると、歩行者や自動車の移動データを利用して、交通への影響やコストのシミュレーションを行う。Cyber POCは鉄道以外にもエネルギーや病院経営などに適用可能で、プロトタイプ開発や実習環境の準備に時間・費用がかかる社会インフラの仮説構築を抵コストで実現している。

製造業向けとして日立が自社で行っている取り組みも紹介された。タイにある工場では、カメラで作業員と設備の動作をセンシングし、標準的な動作を定義し、そこから逸脱する動作と設備の動作不具合を判定することで不具合の早期発見、品質の安定化、作業効率の改善につなげている。

小島氏は「アナリティクスやAIを活用してデータから価値を作るということではトップベンダーだと自負している。(設立から)106年の歴史の中でさまざまなお客様とやり取りし、それを通じたフィールドの経験を持っている」と語り、ITとOTにおける豊富なノウハウがIoTにおいて日立の強みだとした。

(神山翔)