第1回平壌氷祭りが開かれる金日成広場

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 2016年も世界を騒がせてきた北朝鮮は、観光客が激減する冬場の観光へ本腰を入れ始めている。毎年、大晦日にはカウントダウン花火大会が実施されており、薄暗い金日成広場は花火見物の平壌市民で埋め尽くされるが、今年は恒例の花火大会に加え、「第1回平壌氷祭り」が行われると11月中旬に北朝鮮ツアーを手配する旅行各社へ案内があったそうだ。

 新年まで2か月を切っているタイミングで届くところが北朝鮮らしいが、案内によると氷祭りは、12月31日から1月2日の3日間、午後6時から深夜0時まで花火大会がある金日成広場を会場に開催されるものだ。入場は無料なので、開催期間中に北朝鮮に滞在していれば参加することができる。

「中国ハルビンで毎年行われている氷祭りをイメージしていると思われます。ハルビン氷祭りは、氷の巨大滑り台や万里の長城のような建造物、彫像などが展示されるイベントでライトアップされる夜間が特に人気なんです」(中国の旅行会社)

 北朝鮮のそれは、現時点でもイベント詳細は不明なため、推測するしかないが、平壌氷祭りもハルビン同様に氷の彫刻や建造物が展示されるようなイベントになりそうだ。しかし、会場の金日成広場は、サッカー場くらいの広さのため、展示スペースに限りがあるので、横に大きな建造物的な彫像ではなく、高さがあるミサイルや金日成像などの彫像がメインになるのではと推測される。

 また、北朝鮮だけはなく、アフリカのセネガルやボツワナ、ドイツのフランクフルトなど国外でも建築物や指導者像などを制作している「万寿台創作社」がこのイベントへ関わるとの情報もあり、北朝鮮を代表するようなプロパガンダ彫刻が並ぶ可能性もある。

 そうすると大晦日の夜は、ライトアップされた氷の北朝鮮プロパガンダ彫刻と花火を同時に鑑賞しながら新年を迎えるという新しい体験ができることになりそうだ。

◆馬息嶺スキー場もスノボ・スキー板の持ち込み解禁

 実は、北朝鮮は2012年まで12月1日から2月中旬までを冬季期間として外国人の入国を停止していた。理由は電力不足と言われている。そのため外国人に真冬の北朝鮮を開放して今年で4シーズン目となる。通年入国は、2013年12月31日に北朝鮮初の大型スキーリゾート「馬息嶺(マシンリョン)スキー場」のオープンに合わせ2013年から始められたものだ。

  馬息嶺スキー場は、金正恩党委員長の肝いりで作られた10コースを持つスキー施設で、冬の外貨稼ぎの目玉として通年入国を断行するほど力を入れて作るも、昨シーズンまでのオープンしてから3年間は鳴かず飛ばずの状態が続いていた。

 そこで、今冬の北朝鮮は、このスキー場を全面に押し出してアピール。スキー場利用料の値下げ実施や昨年まで認められていなかったスキー板やスノーボードの持ち込みを許可したのだ。

 さらに利用料も、スキー板やウェアなどのレンタル、リフト券セットで2時間55ドル(約6200円)、4時間75ドル(約8450円)、8時間115ドル(約1万3000円)と昨年までのユーロ払いからドル払いへ変更し、値下げしている(※自分の板を持ち込んでも同じ料金)。

 実際に滑った日本人スキーヤーの感想は見つけられないが、最長5091メートル、最大傾斜39.8度のコースや設備は、同スキー場を滑ったヨーロッパ人には好評で、旅行サイトへの肯定的な書き込みを見つけることができる。中には「誰もいないのでコースを独占できて最高」なんてコメントもあった。

 コースやホテルなど設備は比較的よさそうだが、これまで閑古鳥が鳴いていた理由は他にもありそうだ。昨年夏に視察した中国人の実業家は、平壌から3時間半ほどの自動車移動が地獄だったと話す。路面状況が悪く、車内をピョンピョン跳ねながら移動したそうで、「こんな悪い幹線路は今の中国でもない」と話すなどスキー場を結ぶインフラなど環境面での課題は山積だ。

 平壌でのカウントダウンを体験した日本人は年末年始の北朝鮮について、

「とにかく寒いです。節電しているのかレストラン内も寒くコート着て白い息を吐きながら食べました。使い捨てカイロがこんなにありがたいと思ったことはないくらい必須でした。大晦日の花火は素晴らしかったのですが、それ以上によかったのは、花火大会の間、金日成広場を自由に歩き回れたので、花火見物に来ていた北朝鮮の中高校生や若い人たちたと話したり、一緒に写真を撮れたことです。まだ北朝鮮は冬の観光に慣れていないので、グダグダ感がまたよかったですよ」

 今年が初開催となる氷祭りもこんなグダグダ感が味わえる貴重な経験となるかもしれない。

<取材・文・写真/中野鷹>