「検事の本懐」で主演を務める上川隆也/衣装協力=DURBAN、永島服飾株式会社、Losguapos for Stylist

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12月3日(土)夜9時から放送されるドラマスペシャル「検事の本懐」(テレビ朝日系)で、主人公・佐方貞人を演じる上川隆也にインタビューを行った。

【写真を見る】上川隆也は、佐方役について「回数を重ねて演じさせていただいていることから得られるものはとても多い」と力を込めた/衣装協力=DURBAN、永島服飾株式会社、Losguapos for Stylist

本作は「犯した罪はまっとうに裁かれなければならない」という信念を貫く硬骨のヒーロー・佐方貞人の活躍を描く第3弾。

佐方は今回、東京地検特捜部の応援に駆り出され、前作「検事の死命」にも登場した大物政治家・大河内(寺田農)が絡んだ贈収賄事件の真相に迫る。

上川に新しい相棒となった加東栞役の本仮屋ユイカについて、あらためて佐方のキャラクターについて、そして今年を振り返って印象的な出来事などについて語ってもらった。

――撮影を終えられて、手応えはいかがでしょうか?

まだお客さまにご覧いただけていない状態で感じるのは難しいですが、今回で佐方貞人シリーズは3作目。着実に彼の物語が積み重ねられているということであれば、その手応えはあります。

物語は彼の人となりにまで踏み込んで描かれているのですが、特に僕は3作続けて出ているので、キャラクターへの愛着もそうですし、回数を重ねて演じさせていただいていることから得られるものはとても多いです。

――今回の“相棒”となる加東(本仮屋)についてはいかがですか?

佐方にしてみると、当初は扱いかねている部分があったと思うんです。地方から出向した佐方に、中央でキャリアを積んでいる加東は「地方のやり方は忘れてください」と初対面から“紋切り型”ですから。しかしコンビとしての付き合ううちに、いつしか検事が扱うべき事件との向き合い方・思いが共通していく。

そうした物語の造りは、演じていても心地よかったです。また本仮屋さんは加東をかわいらしく演じてくださったので、重厚な物語のその中に、ちゃんとしたおかしみとか、ホッとする部分をもたらしてくれました。

――本仮屋さんご自身の印象はいかがですか?

撮影現場が、それはそれは暑い夏の京都だったんです。真っ盛りではなかったですが湿度がすごい(笑)。スーツでずっと過ごすのはなかなかの居心地でして……。でも、本仮屋さんはそういったことに一切言及することなく、むしろその場その場を楽しんでいらっしゃいました。

役に向かう姿勢も真っすぐで、その場その場を楽しんでいこうとプラスへと向かっていくまなざしはご一緒していても助かりましたし、この作品をよりよくしていこうという思いを、なおさら強くしてくれました。

――そんな中で言いづらいかもしれませんが、3作のパートナーの中で1番佐方に合っていたパートナーは誰になると思われますか?

難しいことを仰いますね(笑)。2作目の増田陽子(志田未来)さんにしても今回の加東栞さんにしても、こちらが意図した形ではなく、たまたま相棒となった相手なのに対して、1作目の小坂千尋(倉科カナ)さんはたぶん佐方が雇っているんです。

検事を辞めて弁護士になり、個人事務所を開いて自らヘッドハンティングしたのか、面接したのかは分からないですけど、雇って何本かの事件を経て、1作目の作品にたどり着いているような気がします。

もしそうならば、一番付き合いも長いでしょうし、合うか合わないかというより、一番お互いの人となりが分かった上でパートナーシップを組んでいる相手かもしれません。

佐方は人の好みをあまり口にしないので、何とも言いようがないのですが、少なくとも時間だけを物差しにしてみれば、小坂千尋さんが一番佐方と時を共にしていると言えるでしょう。

例えば今回の加東さんが何かを思ってヤメ検弁護士にでもなって、佐方が後に立ち上げた事務所にやってくれば話は別でしょうけど(笑)。

――なるほど。それが第4弾になるわけですね(笑)。

もしそんなこと(続編)が起これば……の話ですが(笑)。でも、それは原作にもないですし、あくまでも「もしも」の話。それに元々原作の加東は男性ですから。今回はテレビドラマのフォーマットに沿って作られた、オリジナルのアレンジなんです。それも、効果的だったのではないかと思います。

――ブレないのが信条の佐方ですが、あらためて長所と短所を挙げるなら何になりますか?

長所はやはり事件に相対したときに彼が見せる“靱性”(物質の脆性破壊に対する抵抗の程度)の強さです。どれだけ強い力で押さえられても、元の形に戻ってくる粘り強さとも言えます。

――なるほど。スーツで言えば「形状記憶型」ということでしょうか?(笑)

形状記憶だとグニャグニャにはなりますから。鋼のように強靱に、佐方は節を曲げない。しかし、余人がたどり着けないところにまでその捜査の手を及ばすことができる反面、毎回振り回される方がいることからも、決して扱いやすくはないんです、佐方貞人という人は。

むしろ回りが彼を理解してあげないといけない。とてもバランスの偏っている人物と言えるでしょう。振り回される方々が、何とかしてその手を離さずにいてくれさえすれば、その向こうにある人間性や、もしかしたら温もりや思いの丈も感じ取る機会はないわけではないんです。

手を離さずいるため、回りの人には握り続ける“握力”が必要なんでしょう。

幸いにして3作ともパートナーは、握力にも恵まれていたのかなぁと思います。何だか斬馬刀のようですね。分厚くてなかなか折れないけど、長くて重くて振りにくい(笑)。その辺が長所であり短所でもあるのかもしれません。

――そして今回も、矢島健一さんや寺田農さん、正名僕蔵さんなどかなり濃いメンバーがいらっしゃいましたが、その方々と撮影された印象は?

ご一緒したことのある方々ばかりで、だからこそ現場は常に和やかでした。また、そのおかげでそれぞれの意図するキャラクターの濃さを容赦なくその場に持ち込み合えたと思います。

お芝居の場としては、いわゆる『ガチンコ』だったので、思い余って手が出るとか、怒号が飛び交うとか、遠慮会釈がなかった。それがとても心地よかったです。

打ち明け話になってしまうんですが、クライマックスでの佐方と上司とのやりとりって、本来はカットラインがもう少し手前だったんです。でも、ヒートアップしてしまった僕蔵さんと僕のやりとりをみていた監督が、なぜか止めなかったんです。おかげでそのシーンを最後までやることになってしまいました……(笑)。

それが可能な現場でもあったということなのでしょう。お互いに「変だな」と分かりながら、最後までまさにガチンコでやり続けて、カットがかかった瞬間に「話が違うよ!」と監督の方に向かって声を上げた(笑)。でも、そこは芝居空間としては幸せな場所でした。

僕蔵さんも矢島さんも、何をやっても大丈夫だと思って向き合える方なので、とても楽しかったです。

――では最後に。今年を振り返って印象に残っているお仕事は何でしたか?

今年は“過積載”なんです。まず「沈まぬ太陽」(WOWOWプライム)があって、映画「ファインディング・ドリー」があって。もう1つ僕の中で大きいのは「VOICARION」という舞台です。音楽朗読劇だったのですが、これも僕にとってはトンデモナイ舞台でした。

山寺宏一さんと林原めぐみさんという超絶な声優さんと3人での朗読は、もうドリーまででおなかいっぱいだったのに、これはもう食べ過ぎなんじゃないか?と思うほどでした。脚本を書かれた藤沢文扇さんもものすごく才気にあふれる方でしたし、ミュージシャンも含め、本当に素晴らしい方々とご一緒できました。

今年は作品との出合いもそうですが、人との出会いにも恵まれ過ぎるくらい恵まれました。そういう意味では、僕のここまでの人生でも1、2を争う年になりました。本当にいい1年だったと思います。来年も継続できるよう、精進していきたいと思います。