老舗企業 業歴ランキング

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 2017年に創業100年以上となる老舗企業は、全国で3万3,069社あることがわかった。前回調査(2012年8月)より5,628社(20.5%)増加した。最古の老舗企業は社寺建築の(株)金剛組(大阪府)の578年創業だった。次いで、587年創業の華道「池坊」の一般財団法人池坊華道会(京都府) 、705年創業の旅館業の(有)西山温泉慶雲館(山梨県)と続き、業歴1000年以上(創業1017年以前)は7社あった。
 地区別では、東京都などの「関東」が1万23社(構成比30.3%)と最多で、全体の約3分の1が集中している。老舗率(企業数に占める老舗企業の割合)のトップは、古くから温泉地で栄え、漁業や眼鏡枠製造、薬売りなど地場産業が活発な北陸の2.1%だった。
 業種別では、「清酒製造業」(850社)、「貸事務所業」(694社)、「旅館,ホテル」・「酒小売業」(各693社)が上位を占めた。


  • 本調査は東京商工リサーチが保有する企業データ約309万社から、創業年が1917年(大正6年)以前の企業を対象に抽出した。
  • 本調査では、創業100年以上を「老舗企業」と定義した。

業歴別 「100年以上200年未満」が9割

 業歴別では、「100年以上200年未満」が3万1,136社(構成比94.1%)で最も多かった。以下、「200年以上300年未満」が822社(同2.4%)、「300年以上400年未満」が639社(同1.9%)の順。「100年以上200年未満」 のうち、2017年に「100年」を迎える企業は1,118社。
 宗教法人を除き最も創業が古かったのは、社寺建築の(株)金剛組(大阪府)の578年創業。飛鳥時代の四天王寺建立にも立ち会い、現在は2006年設立の新会社が旧金剛組から事業を継承している。次いで、華道「池坊」の一般財団法人池坊華道会(京都府)の587年創業、武田信玄や徳川家康も訪れたと伝えられる(有)西山温泉慶雲館(山梨県)の705年創業と続く。業歴1000年以上を誇る老舗企業は7社だった。

時代別 「明治」創業が6割

 創業年の時代別では、最多が「明治」の2万1,773社(構成比65.8%)で、6割を占めた。次いで、「大正」6,730社(同20.3%)、「江戸」4,164社(同12.5%)、「室町」132社(同0.4%)の順。
 「明治」は、封建制度の江戸時代から文明開化で西洋文化が流れ込み、西洋化・近代化が目覚ましかった時代だ。政府主導で殖産興業が推進され、各地で様々な企業が誕生した。
 1872年(明治5年)に日本初の鉄道路線が開業し、富岡製糸場(群馬県)が国策事業として創業され、生糸輸出など海外貿易にも力が注がれた。日本銀行が創立された1882年(同15年)には輸出が輸入を上回り、日本の貿易立国の基礎を築き上げた時代でもあった。

地区別 最多は「関東」、老舗率は「北陸」がトップ

 地区別の老舗企業数は、「関東」が1万23社(構成比30.3%)で最も多かった。以下、「近畿」5,970社(同18.0%)、「中部」5,110社(同15.4%)と、大都市圏で6割(同63.8%)を占めた。最も少なかったのは「北海道」の962社(同2.9%)だった。
 前回調査(2012年8月)から老舗企業の増加をみると、最多は「北海道」で前回調査に比べ33.9%増(718→962社)だった。次いで、「九州」の同24.4%増(2,297→2,858社)、「近畿」の同21.5%増(4,912→5,970社)、「関東」の同21.4%増、「東北」の同20.9%増の順。この5地区が全国平均(20.5%増)を上回った。
 老舗率(企業数に占める老舗企業の割合)は、「北陸」が2.1%でトップ。北陸は眼鏡枠製造の福井県(老舗率2.3%)、加賀藩前田家の城下町として発展した石川県(同2.0%)、薬売りとして有名な富山県(同1.9%)と、各県が全国平均を上回った。
 次いで、「東北」の1.8%で、温泉のほか鋳物で歴史のある山形県(同3.3%)、林業や関連産業が発展した秋田県(同2.3%)、酒蔵が多く安土桃山時代に始まった会津塗で有名な福島県(同1.9%)が牽引した。
 最も低かったのは「関東」で0.80%。老舗企業数は最も多いが、戦後の経済成長に伴い設立された企業が多いとみられ、老舗率を引き下げた。

都道府県別 「東京都」が1割を占める

 都道府県別では、老舗企業数の最多は「東京都」の3,811社(構成比11.5%)。次いで、「大阪府」2,022社(同6.1%)、「愛知県」1,783社(同5.3%)の順。1,000社超は7都府県。
 江戸時代から政治経済の中心地だった「東京都」、「天下の台所」を持つ「大阪府」、中部の中心「愛知県」、かつて都が置かれた「京都府」、清酒製造などで有名な「新潟県」、「兵庫県」が上位に並ぶ。

産業別 「製造業」「卸売業」「小売業」で7割

 産業別では、「製造業」が8,751社(構成比26.4%)と最も多かった。次いで、「小売業」7,627社(同23.0%)、「卸売業」7,138社(同21.5%)と続き、この3産業で全体の7割(同71.1%)を占めた。最も少ないのは「情報通信業」で165社(同0.50%)。両替商を起源とする銀行や生命保険・損害保険会社などの金融機関は、明治時代の創業が多い。だが、バブル崩壊後の金融再編、銀行持ち株会社解禁(1998年)で統合・再編が進み、創業年月を平成の新設時にした金融機関もある。

業種別 「清酒製造業」850社で最多

 業種別では、「清酒製造業」が850社(構成比2.5%)で最多。酒蔵は、新潟県や京都府、兵庫県にも多いが、清酒製造業で最古は1141年創業の須藤本家(株)(茨城県)。
 次いで、「貸事務所業」694社(構成比2.098%)、3位は「旅館,ホテル」と「酒小売業」(同2.095%)が693社でランクインした。
 旅館業では、705年創業の(有)西山温泉慶雲館(山梨県)、717年創業の(株)古まん(兵庫県)、718年創業の(有)善吾楼(石川県)など、有名な温泉地で飛鳥時代から奈良時代に創業の古湯治場が多い。
 上位10位を業種別にみると、1位「清酒製造業」、3位「酒小売業」のほか、10位に「酒類卸売業」393社(構成比1.1%)と、「酒」に関連した業種が入った。また、建設関連の「建築工事業」603社(同1.8%)、「土木工事業」553社(同1.6%)も、それぞれ5位、6位に入った。
 江戸時代以降は、商業や工業の発展に伴って人の移動が活発になり、街道沿いに多くの宿場町が整備された。人の移動で各地に文化が広がり、衣・食・住の関連産業が今日まで引き継がれていることを裏付けている。

売上高別 「5億円未満」が約7割

 売上高別では、「1千万円以上1億円未満」が1万853社(構成比32.8%)と最も多かった。次いで、「1億円以上5億円未満」が9,953社(同30.1%)、「10億円以上50億円未満」が4,007社(同12.1%)、「5億円以上10億円未満」が2,957社(同8.9%)と続く。「5億円未満」が2万2,225社(同67.2%)と、小規模企業が全体の約7割を占めた。
 売上高トップは日本生命保険(相)(1889年創業、大阪府)が7兆7,448億円。以下、JXエネルギー(株) (1888年、東京都)が6兆3,695億円、丸紅(株)(1858年、東京都)が6兆1,277億円)の順。売上高1兆円以上は44社だった。
 上位30社のうち、26社(構成比86.6%)の本社は東京都で、大企業の一極集中が目立った。その他、大阪府3社、静岡県1社だった。

従業員別 「10人未満」が5割

 従業員別では、「4人以下」が1万1,191社(構成比33.8%)で最多。次いで、「5人以上10人未満」6,735社(同20.3%)、「10人以上20人未満」5,214社(同15.7%)と続く。
 「300人以上」は1,121社(同3.3%)にとどまり、「10人未満」が1万7,926社(同54.2%)と半数以上を占め、老舗企業の多くは小規模企業となっている。

上場企業 全上場企業の1割強

 東京証券取引所など国内証券取引所に上場する老舗企業は564社で、全上場企業3,647社の1割(構成比15.4%)だった。内訳は、東証1部上場が408社(同72.3%)で最も多く、次いで東証2部が95社(同16.8%)、JASDAQ上場が47社の順。
 上場企業で創業が最も古いのは、中堅ゼネコンの松井建設(株)(東京都、東証1部)。同社は1586年創業で、江戸時代末期まで前田藩に仕え、関東大震災を機に東京に進出。本願寺築地別院復興工事(1934年竣工)や小田原城復元工事(1960年竣工)などを手掛け、「社寺の松井」と称される。薬用酒メーカーとして有名な養命酒製造(株)(東京都、東証1部)は1602年創業。また、傘下に呉服商から発展した百貨店を置く持株会社のJ.フロントリテイリング(株)(東京都、東証1部、1611年創業)も上場企業の老舗企業として名を連ねている。


 2015年の全国の新設法人数は12万4,996社で、6年連続で増加している。一方、2017年に創業から100年以上の老舗企業は3万3,069社ある。老舗企業は戦災、自然災害、経済危機など幾多の苦難の歴史を経ている。
 多くの老舗企業は事業継続への強い「信念」、長年にわたり確立してきた「信用」、そして時代に合わせた業態変更や柔軟な経営方針で、困難を乗り越えてきた。
 創業当初からの経営理念は今日でも色あせることなく脈々と引き継がれ、100年を超えて継続している。長い業歴には規模に関係なく学ぶことも多い。


  • 創業年について
    創業が「〇〇年間」等のように元号もしくは時代のみ判明した場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年とした。ただし、江戸時代は前・中・後期に分けた。