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By Kirt Edblom

マジックマッシュルームはシロシビンという幻覚作用を持つ成分を含有するキノコで、日本を含む多くの国で所持や使用が法律で禁止されています。そんなマジックマッシュルームをがん患者のサイコセラピーに使用すると、がんに由来するうつ病や不安を著しく軽減し、人生の幸福感が高まるなどの効果があることが判明しました。さらにこれらの影響は6カ月間以上持続するとのことです。

Magic mushroom drug helps people with cancer face death | New Scientist

https://www.newscientist.com/article/2114789-magic-mushroom-drug-helps-people-with-cancer-face-death/



マジックマッシュルームに含まれるシロシビンは世界的に違法とされていますが、近年ではシロシビンの生理学的メカニズムが見直され、潜在的に効果があると見られるいくつかの研究が復活しました。すでに小規模実験ではアルコール依存症、アヘン中毒、うつ病、不安神経症などに対するシロシビンの効果が認められています。がん患者も肉体的な症状に加えてうつ病や慢性的な不安などの症状を抱えることがあり、シロシビンががん患者の心理療法に有効である可能性が示唆されています。

ジョンズ・ホプキンス大学とNYUランゴーン医療センターは、がん患者でうつ病や不安神経症を併発している人を80人集め、2種類のテストを実施しました。1つ目のテストは2回にわたる心理療法セッションを行って経過を見るというもので、参加者は1回目のセッションで高用量のシロシビン、または低用量のシロシビンを含むプラシーボ薬のどちらかを服用し、5週間〜7週間後に前回のセッションで服用しなかった方の薬を服用しました。もう一方のテストもほとんど同じ行程ですが、プラシーボ薬をビタミンB3にして経過を観察したとのこと。

各セッションで参加者は目隠しをして音楽を聴き、内的経験について集中するよう促されました。参加者は血圧や心拍数の計測や、臨床ベースのテストおよび質問票などによってシロシビンの効果が評価されました。これらの評価は各セッションの前と、セッションの6カ月後に行われたほか、参加者の家族・友人・仕事仲間にもインタビューを実施して参加者の生活に対する満足感も調査したとのこと。

2つのテストの結果、シロシビンががん患者のうつ病や不安神経症、病気からくる気分障害などの著しい減少をもたらし、生活の質や人生の意義、死を受容する楽観的な考え方のなどを示す数値が向上したことがわかりました。また、これらの効果は6カ月後の評価で80%の参加者に持続していたことがわかっています。研究者は「テスト後の参加者は自分の価値を深く考えるようになり、どのように生きるか、どうやって周囲の人々と接するかなどの行動にも影響を与えました」と話しています。

テストでは吐き気や頭痛、一過性の不安などの報告もありましたが、全体を通して重大な副作用は確認されなかったとのこと。NYUランゴーン医療センターの主任研究員であるスティーブン・ロス氏は「がん患者の約50%が不安神経症やうつ病を抱えていますが、現状の抗うつ薬はプラシーボ薬より効果が低いのです」と話しています。ロス氏はより大規模なテストを行う必要があると述べており、今回のテストと同じ効果が再現されれば、シロシビンががんに由来するうつ病や不安の処方薬になる可能性があると主張しています。



By Linden Tea