自動車メーカー各社には直系のワークスブランドが存在します。その中で最もブランド力が認識され、リリースする商品が成功を収めているのが、STI(スバルテクニカインターナショナル株式会社)でしょう。

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STIはモータースポーツで培ったノウハウを市販車に投入し、究極のロードカーであるSシリーズ。エンジンチューンは行わないものの、サスペンションやブレーキ、シャシーに手を加えたtSシリーズといったコンプリートカーをはじめ、新たにレヴォーグに輸入車層も納得できる上質な乗り味と上質な内外装を施したSTIスポーツを設定しています。今回はスポーティセダンのWRX S4をベースとしてSTIが手掛けたコンプリートカーのWRX S4 tSに試乗しました。

とにかくWRX S4 tsのチューニングメニューはすごいです。足回りにはS207に採用したビルシュタイン製可変減衰力サスペンションDampMaticIIを搭載。フロントブレーキにはブレンボ製4ポッド対抗ブレーキキャリパー。フロントシートにはRECARO製バケットタイプ、BBS19インチ鍛造アルミホイールなどちょっと好きモノならば、珠玉のパーツがこれでもか!というぐらい装着されています。

さらに、STI製フレキシブルタワーバーをはじめとしたボディ補強、エンジンの吸排気系のファインチューン、VDCとアクティブ・トルク・ベクタリングの専用制御、CVTオイルクーラーの追加。そして運転支援システム、アイサイトの制御など、ワークスブランドしかできない範囲にまで手が加えられています。

WRX S4 tsに乗ってバケットシートに腰を落とした瞬間から、ドライバーとクルマが一体化してイイクルマに乗っていると感じます。走り出すと、低速域ではサスペンションの硬さを感じますが、スピードを上げていくと、まさに路面を吸い付くように走ります。

一般道での試乗でしたので路面は荒れていたり、うねりもありましたが、そういった劣悪な路面状況でもしっかりと4輪が路面を捉えてくれます。しかもその路面からのインフォメーションはサスペンションや剛性を高めたボディが吸収してくれるので、操縦安定性は抜群。ステアリングを切ると思ったラインを走れるので、まさに意のままに走ることができます。

ノーマルの状態で300ps(221kW)を発生するFA20DITターボエンジンは吸排気系のチューンしか行っていませんが、約10%のトルクアップによって鋭くなった加速のフィーリングは実感できました。これだけ、パワーが出ていれば、エンジンまで手を加える必要はないなというのが正直なところです。WRX S4 tsは速さと安定感そして上質さを兼ね備えた大人のスポーツセダンに仕立てられています。

これまで歴代のSシリーズに乗る機会がありましたが先代のインプレッサWRXに設定されたS206を凌ぐ速さをこのWRX S4 tsは2ペダルで実現しています。CVTのフィーリングも大分改善されていますが、それでも気になるという人はパドルシフトを使用してシフトチェンジを行うことをオススメします。

アイサイトが付いたコンプリートカーがほしいというユーザーの声がきっかけとなって生まれたWRX S4 ts。運転する楽しさと運転支援装備によるイージードライブの幅をさらに広げた一台です。価格はWRX S4 tsが496万8000円、WRX S4 tsニュルブルクリンクチャレンジパッケージが529万2000円。試乗すればこの価格が決して高くないと感じられます。

(文・萩原文博、撮影・小林和久)

 

 

 

【スバルWRX S4 tS試乗】まるで2ペダルのS207! 先代のSシリーズを超えた速さと安定感(http://clicccar.com/2016/12/02/420355/)