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2016年にわかに注目を集めたAR(Augmented Reality: 拡張現実)。「ポケモンGO」の影響でBtoC向けの技術であるような印象が強いが、3D設計データの新たな活用法としてVR(Virtual Reality: 仮想現実)と共にBtoB領域でも大きな期待を集めている。

PTCの日本法人であるPTCジャパンが12月1日に開催した年次イベント「PTC Forum Japan 2016 〜IoT時代のモノの新しい見方がわかる!〜」でもARは主要トピックの1つだった。

○ARをリードするPTC

PTCは同社の方針を示す言葉として「デジタルとフィジカル(の世界)の融合」を掲げ、それを実現する技術の1つとしてARを位置づけている。2015年11月にはQualcomm Connected ExperiencesからARプラットフォーム「Vuforia」を買収し、テクノロジーをベースとしたAR開発ソリューション「ThingWorx Studio (旧Vuforia Studio Enterprise)」を展開。VuforiaはARプラットフォームで約8割のシェアを占め、PTCはこの分野をリードする存在といえる。

"デジタルとフィジカルの融合"が実現すると、例えば設備のメンテナンス手順をAR表示することで知識や経験が豊富でないフィールドエンジニアでも対応できるようになる。さらに一歩進むと、機器が故障した際のセルフメンテナンスが実現する。医療機器メーカーのシスメックスは血液検査装置が故障した際に、その対処法をAR表示することでユーザー自身で修理可能とし、装置のダウンタイムを短縮している。

こうしたARソリューションを実現するためにはERPやPLMと連携して製品・機器のトレーサビリティを部品レベルまで確保したり、稼働中の製品からデータを収集・解析することで故障内容を判別するなどのIoT化が前提となる。つまり、ARはIoTによって"デジタルとフィジカルが融合した世界"と人間のインターフェースとしての役割を果たすこととなる。

PTC Forum Japan 2016の基調講演に登壇したPTCのジム・E・へプルマンCEOは"フィジカルとデジタルが融合した世界"におけるインタフェースとしてARが適している理由を次のように説明する。「例えば、今のカーナビはドライバーが表示を理解して覚えなければならず、カーナビを横目で見ながら運転する必要がある。これをフロントガラスを通して道路にAR表示すればこうした課題を解決できる」。

幅広い可能性を秘めるARだが、従来はコンテツの作成に複雑なプログラミングが要求されることが普及を阻む要因の1つとなっていた。これに対し、PTCが用意したソリューションが上述のThingWorx Studioだ。同ソリューションは「Creo」をはじめとする主要CADからデータを取り込んで簡単にAR用コンテンツを作ることができ、ARコンテンツ制作を大幅に効率化する。

ちなみに、Creoの最新リリース「Creo 4.0」ではThingWorx Studioに直接データをエキスポートする機能を搭載するなど他製品でも着々とAR対応が進められている。また、ThingWorx Studioは2017年にはMicrosoftのHoloLensに対応するとのことだ。

(神山翔)