北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長 山田悟氏

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糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームの予防につながると注目されている、ゆるやかな糖質制限「ロカボ」。

その提唱者である北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長で、アンチエイジング医師団の顧問団メンバーである山田悟氏(一般社団法人 食・楽・健康協会代表理事)が、2016年11月14日の「世界糖尿病デー」にちなんで、ロカボの最新動向を伝える記者発表会を行った。

会場で記者は食前と食後に血糖値を測定し、糖質による血糖値の変化を体験した。

血糖値92から164に跳ね上がり

その日は、7時に朝食(白米、目玉焼き、漬物、みそ汁)を食べ、午前中は間食をせずにのぞんだ。12時22分に食前の空腹時血糖値を測定。結果は92mg/dl。正常値は110 mg/dlまでだから問題なかった。

計測後は、ランチタイムだ。「通常食」と「ロカボ食」の2種類があり、記者はくじ引きで「通常食」を食べた。提供されたのは、おにぎり2個と野菜のスムージー。忙しい日ランチによくありがちなメニュー。味はおいしく、お腹いっぱいになった。糖質は100グラム程度で593カロリーだという。

食事後すぐに記者発表会が始まった。1時間経って再度血糖値を測ると記者の血糖値は164 mg/dlまで跳ね上がっていた。食後の正常値は140mg/dlまでというから、完全に異常値だ。

一方、「ロカボ食」は、フルーツグラノーラ、牛乳、ブランパンの卵サンドイッチ、ブッセ2個。主食だけでなく、デザート付きだ。こちらの糖質は39.2グラム程度で、687キロカロリー。ロカボ食を食べた人たちの食後の平均値は122 mg/dlで正常値内だった。

おいしく食べた低カロリーランチが急に恨めしくなってきた...。

山田医師によると、糖尿病を発症する日本人は1年前から、空腹時血糖値に異常がみられ、食後の血糖においては、10年前から異常がみられるようになるという。

記者は、これまで健康診断で血糖値の異常を指摘されたことがないが、「10年後」に向けて黄信号。いまから注意する必要があるということだ。

腸内環境や睡眠の質もよくする

糖質が多い食材は米、小麦類、そばなどの麺類、芋類など。糖質の少ない食材は肉、魚、大豆製品、野菜。

血糖値の上がり方は、食品によって違う。同じ炭水化物量であっても血糖値の上がり方が違うことを意識した概念がグライセミック指数(Glycemic index; GI)だ。しかし、低GI食品であっても、かえって血糖値が上がりやすい人もいるという。だから、炭水化物の質ではなく量に重きをおき、低糖質商品を利用するなどして、食事全体で糖質量をコントロールすることが大切だという。

「血糖値の激しい上下動は、認知症の発症一因にもなります。また、食後の血糖値が上がる糖質過多な食べ方をしていると、腸内環境にも影響します。悪玉菌が増え、善玉菌が減ってしまうのです」と山田医師。

食前・食後の血糖値は、なかなか測る機会はないが、市販されている血糖値測定器を使うか、ナチュラルローソンに併設されている「クオール薬局」などでは、検体測定室を設けている例も出てきているので、利用するのも手だ。

食・楽・健康協会は、2016年9月に神戸市と「ロカボ神戸プロジェクト」をスタートさせている。神戸市の飲食店がロカボ食メニュー開発に取り組む。山田医師は「おいしい・たのしい・適正糖質食で日本をもっと健康にしていきたい」と今後もロカボ普及に力を入れていく。

医師・専門家が監修「Aging Style」