レオス・キャピタルワークス代表取締役。大手運用会社を経て、03年レオス・キャピタルワークスを創業。2008年の投資信託設定以来、驚異的な成績を誇る「ひふみ投信」の名ファンドマネジャー。

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現在発売中のダイヤモンド・ザイ1月号では、大特集「2017年への日本株講座」を掲載。この中で、日本株投資の戦略の立て方を解説してくれているのが、「ひふみ投信」ファンドマネジャーの藤野英人さんと、楽天証券経済研究所チーフストラテジストの窪田真之さんだ。今回はその中から、「成長株」と「高配当株」の見つけ方について、抜粋して紹介しよう!

成長株を選ぶときは「割安」か「割高」かは二の次

――どうすれば上がる株を見分けられるのでしょうか。そしてどんな指標を見ればいいのでしょうか。

藤野 銘柄を選ぶうえでの指標としては、株価が割高か割安かを見る「PER(株価収益率)」や「PBR(株価純資産倍率)」、株価に対する配当の大きさを見る「配当利回り」などがあります。一般に高成長株は、人気のある銘柄ほどPERやPBRは高く、配当利回りは低くなります。つまり、株価は割高で、配当のうまみも少なくなってしまうわけです。

 割高な株は「株価が高すぎる」と評価されるので売られやすく、割安な株は「まだ上がる余地がある」との判断で買われやすくなるというのが株式投資のセオリーですが、成長株については、必ずしもそれが当てはまるとは限りません。なぜなら、株価は割高でも、それを上回る成長余地がある銘柄も存在するからです。

――では成長株を選ぶには何が重要なのでしょうか。

藤野 たとえば「1株当たり利益」に対して株価が何倍かを示すPERが40倍だとすると、一般的にはかなりの割高水準ということになりますが、その会社の利益が今後5年間で30%成長すると予見できるのなら、株価はさらに上がるはずです。

 成長株を選ぶうえでは、文字どおり利益「成長性」をじっくりと見ることが重要です。割高感や割安感は二の次です。

高配当株狙いの投資でも、成長性を重視するべき

――続いて、高配当株を見つける際の注意点とは何でしょうか?

窪田 成長株は人気が集まって割高になりやすいのに対し、高配当株の大部分は人気の低い割安株です。売られ過ぎて株価が安いからこそ、高い配当利回りが得られるのです。

 ただし、売られ過ぎているからといって、それ以上株価が下がるリスクはないかと言えば、そんなことはありません。どんなに配当利回りが高くても、株価が買った時よりも安くなってしまったら台無しですからね。その意味では高配当株を選ぶ場合も、業績の成長とともに株価の上昇が期待できる銘柄を選ぶことが非常に大切だと言えます。

――成長が見込める高配当株もあるわけですね。

窪田 典型的な銘柄のひとつが「無印良品」を展開する「良品計画(7453)」でした。「良品計画」の株価は2012年前半までは3000〜4000円前後で推移して、配当利回りは3%前後ありましたが、この4年間で株価は2万円台まで大きく上昇しました。増配もしていますから、安値で買った人は、いま非常に高い配当利回りになっているはずです。

 小売業は人口減少とともに国内市場がどんどん縮小しているので、成長が見込めない産業だと思われがちですが、良品計画は海外出店を積極展開することで、さらなる成長を実現したのです。このように将来の成長ストーリーがしっかりと描ける企業なら、元々が割安なのですから、株価が大きく上がる可能性も大いにあるのです。

藤野 植物に例えるなら、華やかで人気化しやすい高成長株は花、高配当株は地味で割安に放置されがちだけど、実は栄養のある芋や根菜といったところでしょうか。地中にある芋や根菜は目に付きにくい。でも、それが将来大きくなって収穫の時期を迎えれば、そこで気付いた人々が集まってくる。つまり、株が買われるようになるわけです。

窪田 今後、同じように「人知れぬ成長」が期待できそうなのが、金融株です。長年割安に放置され、2016年に入ってからはマイナス金利導入の影響でさらに株価が低迷していますが、金融株の中には「三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)」や「三井住友フィナンシャルグループ(8316)」のように、事業の多角化や海外での事業展開を積極的に推し進めている会社もあります。本業の収益はマイナス金利によって圧迫されても、収益源の多様化によって成長できるというストーリーが描けるわけです。

 いまはまだ地中に眠っている“将来の可能性”に早く気付けば、大きな実りを得られるかもしれません。

藤野 高成長株も高配当株も、成長を予見して銘柄を選ぶという基本は共通しています。株価の動きや株価水準だけでなく、企業のホームページに掲載されている経営計画などを見て、成長期待が持てるかどうかをじっくり吟味すべきですね。