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「Amazonのせいでなくなる仕事はAmazonが生み出す仕事よりも多く、さまざまな産業の競争を減少させている」ということで、Amazonが寡占や不公正な商習慣を追求することで、各産業を支配して莫大な私財を蓄えた「泥棒男爵」に類似しているということを指摘するレポートが発表されました。

New study compares Amazon to 19th century robber barons, urges policymakers to break up the online retail giant - GeekWire

http://www.geekwire.com/2016/new-study-compares-amazon-19th-century-robber-barons-urges-policymakers-break-online-retail-giant/



Amazonの従業員は2016年の第3四半期で30万6000人を超えましたが、Institute for Local Self-Reliance(ILSR)によって発表された調査によると、Amazonが倉庫を拡大することで、14万9000人が小売業の職を失うことになったとのこと。倉庫の拡大によって1億3500万平方フィート(約1250万平方メートル)の小売店が更地になり、700の大規模小売店と2万2000の路面店が閉店を余儀なくされたそうです。

さらにレポートには、倉庫内の環境について「労働者を疲弊させ賃金を押し下げている」とつづられています。ILSRがアメリカ国内でAmazon倉庫がある11のエリアを調べたところ、Amazonでの賃金は周辺地域の倉庫の賃金より平均して15%低いことが判明。Amazon倉庫が5つあるシアトルエリアについて言えば、周辺の倉庫で働く労働者よりも18%も賃金が低いことがわかりました。調査を行った一人であるOlivia LaVecchia氏は「Amazonは、これまで人々に満足のいく生活や賃金を与えてきた職業のあり方を変え、短期的なものに変化させました。そしていずれはそれらの職業を自動化させるつもりです」と語っています。



Amazonの成長に伴う形で噴出している問題は、このほかにも倉庫周辺地域の家賃高騰、交通渋滞の発生、賃金の不平等などが挙げられます。シアトル市長のEd Murray氏も上記のような問題を認めていますが、一方で「成長に伴う偉大な問題だ」と表現しています。

Amazonを擁護する意見が存在する理由は、Amazon倉庫ができることで活性化する産業があるためです。不動産業がその1つで、Amazon倉庫ができることで何千人もの従業員がシアトルにやってくるため、住宅建設が盛んになります。また、ワシントンでは、Amazonが3万5000人もの人を高給のポジションでやとったことで、不動産市場が活気づきました。

このような状況を受けて、ILSRはAmazonが19世紀に生まれた泥棒男爵と類似していることを指摘。泥棒男爵とは寡占や不公正な商習慣を追求することで、各産業を支配して莫大な私財を蓄えた実業家・銀行家のこと。スタンダード・オイルは19世紀後半にアメリカにおける石油市場を独占しましたが、Amazonが持つ市場独占の野望はスタンダード・オイルのものと同じであり、スタンダード・オイルがかつて石油産業をコントロールしたように、Amazonは2016年現在において書籍産業をほとんどコントロールしている、とのこと。

Amazonは2016年には8万人もの従業員を増やし、全世界で30万人もの従業員を抱えるようになりました。アメリカでのホリデーシーズンに備えて短期雇用の従業員を12万人も増員する予定とのこと。また、Amazonはサードパーティーの販売店を自社のマーケットプレイスに60万以上作り出しており、そのうち7万もの販売店は年間10万ドル(約1100万円)の売上があると主張しています。

批判を受けながらもAmazonは拡大しつづけ、物理的な小売店を閉店に追いやるとともに、個人の販売店が儲けるにはAmazonのマーケットプレイスにお店を持つ必要がある、という状況を作り出しました。この傾向は書籍分野だけでなく、食料品などの分野にまで広がっています。

「Amazonはますます経済の根底にあるインフラをコントロールするようになっています。Amazonが展開するサードパーティー向けのマーケットプレイスは、デジタルコマースの中で支配的なプラットフォームです。またAmazonの展開するウェブサービスはNetflix利用者からCIA職員まで、アメリカ国内のさまざまな人の根幹となっています。倉庫や取次所は主要なアメリカの都市ほぼ全てに存在し、競争を生み出すことで自社だけでなく他社の配達スピードをも速めました。このように重要なインフラをコントロールすることで、Amazonは競業他社を打ち負かし、同時にライバルが自社のマーケットを使う仕組みを作っています」とレポートには記されています。

レポートでは、Amazonが2005年に公的機関から6億1300万ドル(約700億円)を受け取っていることにも触れられているとのこと。現存する77のAmazon倉庫うち約半数が2005年から2014年までに建てられていますが、この期間にもAmazonは補助金を受け取っており、レポートの著者らは、これらの補助金を絶つべきと示唆しています。