千葉県警本部(「Wikipedia」より)

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 9月下旬、千葉大学医学部生3人が集団で女性に暴行したとされる事件をめぐる千葉県警の姿勢が、波紋を呼んでいる。

 11月、千葉県警はメディア各社の取材に対して、「事件に関する情報は一切発表しない」として、発生日時や逮捕者の名前を含めて事件に関する情報公表を拒否。これに対しメディアや有識者からは、千葉県警による容疑者の身柄の拘束が適切であったのか外部からの検証ができない、などと一斉に批判の声が上がった。さらに一般の人々の間でも「千葉県警は重大な事柄を隠蔽しているのではないか」「容疑者に政治家など有力者の子供がいるのではないか」などと、さまざまな憶測が飛び交う事態に発展した。

 これを受け千葉県警は11月24日、産経新聞などの取材に対し、「必要があれば今までどおり取材対応や発表もする」と方針転換し、「捜査状況で発表の時期などが遅れている」「逮捕者をかばっているわけではない」と説明したものの、いまだに情報の発表を行っていない。新聞記者が語る。

「警察は捜査ミスなど自分たちにとって不都合な事実がある場合、徹底的にそれを隠蔽しようとする。メディアの執拗な取材と追及で、警察が態度を一変させて事実の公表に踏み切ることもあり、今回のケースでも“何かを隠している”疑いがある」

●マスコミと警察

 このような疑いが広まり、世論が一様に千葉県警への批判に傾くなか、千葉県警内部ではいったい何が起こっているのであろうか。警視庁警察官OBは、次のように分析する。

「千葉県警の対応は理解できます。マスコミはすぐに疑いますが、県警に『逮捕者を守る』意図があるはずもなく、被害者やその家族が強く非公表を望んだ結果だと思われます。この種の集団事件のみならず、たとえば交通事故のような場合でも、被害者やその家族が『その場にいたこと自体を知られたくない』などの理由で公表を望まないケースはよくあることです。現在、警察がもっとも重視しているのが『被害者保護』であり、専門部署を設けている署もあります。もちろん、被害者側が望めばすべて非公表ということではなく、事案の重大性等から被害者側を説得して公表に踏み切る決断をすることもあります。今回の場合も、千葉県警の説明どおり、捜査への支障を懸念したと考えるのが自然です」

 また、同氏は千葉県警のマスコミ対応については、次のように苦言を呈す。

「県警のマスコミ対応が適切だったかといえば、『まずかった』といわざるを得ません。それは、逮捕の事実を非公表としたこと自体ではなく、マスコミへの初期対応と方針転換についてです。日頃から、この種の“警察vs.マスコミ(記者クラブ)”の対立は現場ではよく起こります。それらは往々にして、日頃の両者のコミュニケーション不足から発生しています。当初『一切公表できない』と突っぱねたのは明らかによくなかったですし、『批判を浴びたので方針変更しました』では、他意を疑われてしまいます」

 一方、メディアの姿勢について、同氏はこう疑問を投げかける。

「警視庁広報を担当したことのある立場で申し上げれば、上から目線で『外部の検証が困難になる』と、なんでも知りたがるマスコミにも責任はあると思います。記者のなかには『被害者保護』の意識が微塵もないまま、関係者に取材しまくり引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、被害者に二次被害がおよぶこともある。警察からすると、捜査妨害以外の何物でもありません。そういうマスコミへの不信感が、警察内部に強いのも事実です。マスコミのメディアスクラム改善はまったく進んでおらず、こうしたメディアの姿勢や記者の質の改善も急務です。一方で、インターネット上などに誤った情報が流布する危険性が高い時代となり、警察当局が正しい情報を公表する必要性が非常に高くなっているのも事実なので、警察とマスコミの間で十分にコミュニケーションをとり、互いに信頼感を醸成していく必要があります」

 千葉県警の今後の動きに注目が集まる。
(文=編集部)