<人や組織を動かし、成功を手に入れるには影響力が不可欠。そんな影響力を効果的に獲得するには、忠実な追随者から成る「トライブ(部族)」を作ればいいという>

 米タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」にはそうそうたる顔ぶれが並んでいる。だが、そもそも影響力とは何だろうか。「他に働きかけ、考えや動きを変えさせるような力」(デジタル大辞泉より)――確かにそうなのだが、実感しづらく、縁遠いものに感じる人もいるかもしれない。

 しかし、影響力は何も、有名人や政治家だけが持っているものではない。実際、ビジネスコンサルタントのスティーブン・ピアスによれば、仕事でふさわしい給与をもらえるかどうか、会議での発言がまともに取り上げられるかどうかも、すべて影響力次第なのだ。

 ピアスは世界各地の有力者に取材し、新刊『ここぞというとき人を動かす自分を手に入れる 影響力の秘密50』(服部真琴訳、CCCメディアハウス)で、影響力を獲得する50のノウハウを提供している。

 ここでは本書から一部を抜粋し、4回に分けて掲載する。第3回は「15 トライブを作り育てる」より。影響力を持ちたいとしても、自己宣伝には注意が必要。第三者をうまく使うべきというが、そのために必要なこととは?


『ここぞというとき人を動かす自分を手に入れる
 影響力の秘密50』
 スティーブン・ピアス 著
 服部真琴 訳
 CCCメディアハウス

※シリーズ第1回:給料が安いと感じているあなたは、おそらく影響力が足りない
※シリーズ第2回:影響力を身につけるには有名人に「便乗」すればいい

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15 トライブを作り育てる

 影響力が最もよく育つのは、第三者を通じたときだ。自己宣伝は、やり方を間違えれば「権力志向むき出し」に見える。長期的な目で見れば、影響力の行方を左右するのは自分の代わりに自分を宣伝してくれる人々。宗教からテクノロジートレンドまで、普及するアイデアと不発に終わるアイデアを分けるのは、少数の初期採用者や熱心な信奉者という存在だ。「トライブ(部族)」を作ること、あるアイデアや共通の関心への情熱で結ばれた忠実な追随者から成るグループを作ることは、効果的な影響力獲得法になる。

 問題は、フォロワーにはリーダーが必要だということ。彼らを率い、育て、支える人間がいなくてはならない。そんなの当たり前? だが影響力が欲しくても、リーダーシップの重みを担えない人はたくさんいる。アイデアの力に頼るだけで、アイデアを普及させる役目を人任せにする人が。

 まず必要なのは、人を引き寄せること。磁石になるのは共通の関心、あるいは素晴らしい未来像かもしれない。なんであれ、自分のアイデアには従うだけの価値があると信じなければならない。それができない人は珍しくない。だからこそ、人類は今も癌を完全に治療できず、地球温暖化を解決できていないのかもしれない。方法は見つかっているのに、見つけた人が発表する自信を持てないせいで。

 人気ブロガーのダニエルはこう語る。「考えを表明すること、伝えたいメッセージを公の場で語ることには勇気がいる。でもそれをすれば、反応してくれる人、賛成してくれる人が1人か2人はいるかもしれない。それは素晴らしい瞬間であり、今後を決定する瞬間でもある。今こそ前進し、コミュニティを作り、育て、率いる必要がある。フォロワーを獲得すれば終わりではない。それが始まりだ」

【参考記事】部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部