<イスラム過激派の情報収集にあたるドイツの情報組織で、職員の男がISISのスパイ容疑で逮捕された。ヨーロッパ各国の情報機関にイスラム過激派のスパイが潜入する脅威は、既に現実のものとなっている>(写真:ドイツ・ケルンの憲法擁護庁の庁舎)

 イスラム過激派や極右などの監視にあたるドイツの情報機関「憲法擁護庁(BfV)」で今週、職員の男がイスラム過激派の主張をネット上で宣伝し、情報機関本部の爆弾テロを企てた疑いで逮捕されたと、各国の報道機関が報じている

 ドイツのニュース週刊誌シュピーゲルなどによると、逮捕されたのは51歳の職員で、ケルンにある本部の爆弾テロ計画について、一部を認めている。この容疑者は、今年4月からイスラム過激派に関する情報収集を担当していたが、外部のイスラム教徒との間で、「非信者」への攻撃を開始したり、「アラーの名のもとに」本部を爆破したりする計画を練る内容のチャットが見つかった。

 容疑者は約2年前にイスラム教に改宗し、その後、過激主義に傾倒していったらしく、ISISの指導部の1人、モハメド・マフムードへの忠誠を誓っていると見られている。

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 イスラム過激派によるテロの脅威が高まるヨーロッパでは、各国の情報機関が過激派の情報収集を強化するために担当職員を積極的に採用しているが、専門家は、「安全保障上のリスクを抱えた人物を採用してしまうことは、どれだけ細心の注意を払っても避けられない」と言う。

 ドイツ情報機関の広報担当は、容疑者がイスラム教に傾倒していることは組織内の様々なスクリーニングでもわからなかった、と話している。「採用期間中も訓練中も、またどの職務においても、常に目立たないように行動していた」

 中東から逃れたISISの戦闘員が世界各国に分散する危険性が指摘される中で、その監視にあたるはずの情報機関にまでISISのスパイが潜入する脅威は、既に現実のものとなっている。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部