サザビーズが初の試み、「経験」競売で顧客層拡大を狙う

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経験豊かなプロやコーチから、テニスやゴルフのレッスンを受けてみたいと思ったことはないだろうか。世界的なトップシェフにオーダーメイドでぜいたくなディナーを用意してもらい、家族や友人たちを招待するというのはどうだろう?

競売大手サザビーズは11月28日から12月9日まで、同社初の試みとなる「経験」の競売を実施している。オンライン・マーケットプレイスで落札者にさまざまな経験を提供するイフオンリー(IfOnly)との提携で実現した「エクスペリエンス・オークション」は、特に若い世代を対象としたものだ。

サザビーズはこれまで3世紀近くにわたり、希少な骨董品や芸術品の販売を手掛けてきた。一方のイフオンリーは、5年前に創業したばかり。サザビーズはこうした新興企業とのコラボレーションで、若い世代の新たな顧客層の取り込みを図りたい考えだ。デジタル時代にみられる傾向として、ミレニアル世代を中心とする若者たちは、モノよりも経験にお金を使うようになっている。

22の「経験」が入札中

10日間にわたって行われるオークションには、イフオンリーが用意した冒険の旅や食事、セレブのような経験など合わせて22の「一生に一度の機会」が出品されている。また、イフオンリーは慈善活動を重視していることから、落札によって得られる利益の少なくとも5%は、世界的な問題の改善に向けた活動に寄付される。

「たった一度の経験」の一つは、ロンドンで行われる映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」の関係者向け上映とパーティーへの参加。ソウ・ゲレラを演じるフォレスト・ウィテカーと会うこともできる。入札開始額は2人分35ドル(約3,900円)で、予想落札額は5〜7万ドル(約560〜785万円)。利益の一部はウィテカー・ピース・アンド・デベロップメント・イニシアチブ(Whitaker Peace & Development Initiative)に寄付される。

また、アンディ・ロディックとアンディ・マリーのコーチを務めたブラッド・ギルバートによるテニスのレッスンも入札中だ(入札開始額は2人分で4,200ドル)。夢のゴルフコースを有名コーチのブライアン・モグと回る機会は、7,000ドルから入札できる。

これら22の経験のうち、多数を占めるのは食に関わるものだ。「スクリーミング・イーグル」を造るナパバレーのワイン農園で食事を楽しむ経験や、有名シェフのゲイリー・ダンコが提供するランチを40人で味わう経験の入札額は、いずれも1万4,000ドル。

サザビーズとイフオンリーはその他の経験の落札額について、150ドル前後から数万ドルと見込んでいる。

両社の利害が一致

イフオンリーの創業者でもあるトレバー・トレイナ最高経営責任者(CEO)はフォーブスに対し、「当社が顧客ターゲット層としているのは、教育水準が高い富裕層であり、人生を豊かにしたいと考えている人たち。次いでミレニアル世代だ」と明らかにした。

トレイナが考えるとおり、ミレニアル世代は自らの人柄や関心事を表す自分の”ブランド”のキュレーションのために、ソーシャルメディアをプラットフォームとして使う。新たに購入したものをインスタグラムに載せる人はあまりいない一方で、旅先やイベント会場、大切な人たちとの集まりの場で撮影した自分自身の写真を投稿する人は多い。

トレイナCEOは、「サザビーズの競売に参加するのは、経験するということに非常に高い関心を持った人たちだと思う」「入札するということ自体も、経験の一つだ。驚きがあり、期待があり、興奮がある」と述べている。

両社にとっても「応札」となる今回のオークションの機会は双方にとって、品物を収集するよりもソーシャルメディアで写真を共有することを重視する顧客の獲得に向けた最善の「入札」といえそうだ。