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 英国でBrexitをめぐり、それに反対する政財界の著名人の運動が活発化している。

 まずはヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン氏がBrexit を葬り去るためにグループを作った。労働党議員で大臣経験者のアラン・ミルバン氏がそのリーダーとして活動している。(参照:「El Diario」)

 元首相のトニー・ブレアー氏も、中道左派を焦点に政治活動を開始すべく活動基盤「OPEN BRAIN」を創設した。その活動の中にはブランソン氏と同様にBrexit に反対する活動も加えている。そして、彼は<Brexit の条件についての国民投票をすべきだ>と主張している。Brexitがもたらす負の影響そしてそのコストを国民が理解すれば英国民の意見は変わると彼は見ている。(参照:「El Mundo」)

 さらに、保守党のジョン・メイジャー元首相もブレアー氏の提案する国民投票の実施を支持することを表明した。(参照:「El Mundo」)

 そして、トニー・ブレアー氏やデイビット・キャメロン氏らと親交があり、パブリックリレーションズに従事しているマッソー・フレッド氏がEUへの復活の為の戦略とキャンペーンの実施を行うことになっているという。(参照「El Diario」)。

 アラン・ミルバン氏とトニー・ブレアー氏のそれぞれの活動において、双方の連携はない。しかし、共通しているのはBrexit に反対し、EUへの復帰を目指していることだ。

 メイ政権の内部においてもBrexitの支持派と反対派に分かれている。

 支持派はボリス・ジョンソン外相、デイビット。ベイビスEU担当相、リアム・フォックス国際貿易相が核になり、反対派はフィリップ・ハモンド財務相とグレッグ・クラークエネルギー産業相らである。ハモンド財務相は<この先5年間にBrexitが及ぼす財政負担は1220億ポンド(17兆円)、GDPも通常より毎年2.4%少ない成長になる>と指摘している。その影響で、ジョージ・オズボーン前財務省が<2019年までに財政赤字を無くす>ことを公言したが、<それは2020-2025年まで待たねばならない>と述べた。その裏付けのひとつになっているのが、Brexitを選ぶと<毎年財政収入が728億6400万ユーロ(8兆3800億円)減少する>と見込まれていることである。(参照「El Pais」、「El Confidencial」)。

 こうした状況の中、Brexitに立ち込める暗雲はさらに濃いものになってきている。

 例えば、ロンドンの高等裁判所が、EUとの離脱交渉をする際に、リスボン条約50条のEUへの通告には英国議会の承認が必要とするという判決を下した件である。政府は、その判決を不服として最高裁に上訴した。その判決が12月に下されることになっている。専門家の間では高等裁判所と同じ判決が下されるものと見られている。

 もしそうなると、メイ首相はますます苦境に立たされることになる。何故なら、650議席の議会でEU残留に支持を表明している議員が480人いると見込まれているからである。329議席を持つ保守党内部も賛成派と反対派で真っ二つに分かれているのである。(参照「El Mundo」)

 このような厳しい状況の中で、メイ首相は政策の舵取りをせねばならないのである。

 この段になると、議会で審議にかけてもBrexitそのものが否決される可能性が強くなっていると見る以外ない。そしてこれは、メイ首相にとっては厳しい選択を迫られることになるだろう。というのも、メイ首相もキャメロン前政権時には内務相としてBrexitに反対を表明していたが、首相に成ると、考えを180度転換させ、しかも移民の入国を英国がコントロールするというHard Brexitを主張して来たからだ。その手前、今更、首相として、おいそれとBrexitを否定することは出来ない立場にある。そこで考えられるのは、首相として辞任するか、或いは前倒し総選挙に打って出るかの二者択一しかなくなるわけだ。